全酪新報/2019年10月1日号

「日米貿易協定が最終合意」――農産品関税TPP範囲内に

2019-10-01

日米両政府は9月26日、早期の成果達成に向けて昨年9月末より協議を進めてきた日米貿易協定が最終合意に至ったことを双方の首脳間で確認し、共同声明に署名した。懸念されていた農産品の市場アクセスに関しては「TPP協定の水準を超えない範囲」で応じることとなり、脱脂粉乳・バターなどTPP協定において、特別枠として設定した低関税輸入枠(TPPワイド枠、33品目)については、新たな『米国枠』を措置しない形で決着を得た。今後、両国それぞれで速やかに国内手続きを進め、早期の承認・発効を目指す。早ければ年度内にも発効する見通しだ。

お断り=本記事は10月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「家族経営の重要性求める」中酪が臨時総会――新酪肉近へ要請取りまとめ

2019-10-01

中央酪農会議は9月19日、都内で臨時総会と理事会を開き、見直し作業が進められている酪肉近(酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針)に関して、中小規模の家族経営の重要性を明確に位置付けることなどを求める要請事項を取りまとめた。臨時総会終了後には農水省に要請。併せて、千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風15号に関する支援を求めたほか、独自に台風など自然災害支援のための義援金募集も決めた。


酪肉近策定に当たり、都府県は経産牛40頭規模が全体の7割を占める現状を踏まえ、中小規模の家族型経営の重要性を明確に位置づけるよう求めた。加えて、円滑な経営継承や新規就農を推進するための施策、外部支援組織の機能強化推進など生産基盤の強化対策を講じることとした。


また、今後とも酪農家の所得安定のためには指定団体が継続して機能を発揮することが重要だが、部分委託が徐々に増加している。その動きが無秩序に拡大すると、生乳需給や価格形成が不安定となり、最終的には酪農家の所得減少につながることから、指定団体の位置付けを明確にするよう強調。生乳需給緩和時の委託加工への支援など出口対策も含めた需給調整の制度化も挙げた。


それらの内容について、砂金甚太郎副会長(全酪連会長)と瀧澤義一副会長(ホクレン副会長)、菊池一郎理事(関東生乳販連会長)が臨時総会終了後に農水省を訪れ、畜産部幹部職員に要請した。


中家徹会長は冒頭挨拶の中で、7月の生乳生産量は梅雨の影響が続いたことで回復傾向に向かった一方、8月は一転して猛暑で生産量が大きく減少し、最需要期の9月を迎えたことを説明。その上で、直近の生乳需給について「台風15号の上陸もあり、例年以上のひっ迫で推移している。全国連も含めた指定団体の連携による生乳の安定供給が重要になっている」と述べた。

「自民党、一連の自然災害へ対応策を議論」――乳房炎等に十分な支援必要

2019-10-01

自民党が9月27日に開いた会合では、9月上旬に千葉県を中心に長期停電など甚大な影響をもたらした台風15号による被害に対し、早急な対応策の実施に向けて議論。台風15号及び17号による農林水産業への影響と被害状況の深刻さをふまえ、政府に対する党としての申し入れ文を決議した。酪農に関しては、長期間の停電により多発した乳房炎等に対して十分な対策・支援が必要として、今後具体的な支援内容の検討を進めていく方針だ。


9月上旬に発生した台風15号による被害のうち、畜産・酪農関連は9月26日現在で家畜27万5360頭羽、畜産物(生乳等)1559㌧、畜産用施設595件。会合では、千葉県の農協関係者から災害廃棄物の撤去や早期復旧に対する支援等を求める声が上がるとともに、議員からはスピード感のある支援対応、県・市町村と中央官庁の連携が必要との意見があった。


会合ではこのほか、被害の深刻さに加え、議員や関係者からのこれまでの意見をふまえ、台風15号及び台風17号による被害に対して、自由民主党、農林・食料戦略調査会、農林部会の連名で政府に対する申し入れ文を決議。これを受けて、農水省の伊東良孝副大臣は「ご意見を真摯に受け止め、現地調査等を通じ被害状況を速やかに取りまとめ、必要な支援を検討していく」と述べた。


このうち酪農への支援方針については、昨年9月の北海道地震と同様に停電の影響が甚大だったことを鑑み、申し入れ文において「停電の影響により被害を受けた乳牛に対する乳房炎の治療や非常用電源の確保等に要する経費の支援、不足する粗飼料を購入する場合に要する経費の支援など、酪農・畜産農家の経営安定・生産回復が図られるための支援を十分に行うこと」と明記した。


なお、同台風を含めた8~9月の前線に伴う大雨等は、激甚災害に指定される見込みであると事前公表されている。

「千葉県内の集乳量回復へ向かう」――廃業は複数発生、台風15号被害

2019-10-01

台風15号による千葉県内の被害状況は、千葉県酪連によると、9月30日現在で台風前(集乳日量平均約470㌧)との比較でほぼ同程度の集乳量まで回復した。


また、廃業をよぎなくされた酪農家は現時点で5戸だが、「施設被害の状況や牛へのダメージ、後継者の有無など総合的な判断から今後廃業を迫られる酪農家も複数ある」としている。


一方、長期間の停電により稼働出来ずにいた千葉酪農協は30日より全製造ラインの稼働を再開した。学乳や店頭陳列は最短で2日から開始される。稼働再開が遅れている古谷乳業成田工場は、10月1日から本格稼働に向け準備を進めている。


廃棄・減少乳量 引続き調査中 千葉県酪連


台風15号による廃棄・減少乳量について、千葉県酪連では「現在も調査を進めている段階」として、全容解明にはまだ時間がかかるとしている。


畜舎等の損壊、牛の斃死、乳房炎多発等による牛体への影響など記録的な災害となった。


生乳の廃棄・減少乳量に関しては、中央酪農会議は19日の臨時総会で9月9~19日までの同県内での廃棄・減少乳量について約1800㌧と推定、生乳廃棄だけで約2億円の損害にのぼると試算している。


また、9月30日現在の台風15号による農林水産業の被害額合計446億円のうち、千葉県の生乳等の被害は1559㌧、1億5428万円となっており、今後、さらに被害額は拡大する見込み。

「酪政連が江藤農相を表敬訪問」――都府県対策推進へ協力要請

2019-10-01

酪政連の大槻和夫委員長ら三役は9月26日、このほど農林水産大臣に就任した江藤拓農相を表敬訪問。就任に対して祝辞を述べるとともに、大槻委員長は現在の日本酪農が自然災害の頻発や国際化の進展など先行き不透明な環境下にあることに触れた上で、江藤農相に対し「都府県対策の具体的な推進を考えており、その力添えをお願いしたい」とその対応を求めた。そのほか酪政連は、指定団体機能の維持など、20年度の酪農政策・予算確保についても合わせて強く要請した。


また、江藤農相は面会の中で、今回の千葉県における大規模停電が県内酪農に甚大な影響を与えたことを強調。同災害を起因とする離農に歯止めをかけるべく「できることは省を上げて一生懸命考えていく」との意向を示した。


酪政連は20年度酪農政策・予算に対し①指定団体機能の維持②ヘルパー確保等対策③乳用牛預託事業等対策④自給飼料対策⑤堆肥舎等長寿命化推進事業の継続・拡充⑥産業獣医師の中長期的確保への支援拡充⑦自然災害対策――など7項目への対応を要望した。

「全酪連10~12月の配合㌧当たり500円値下げ」――産地の天候回復、円高要因で

2019-10-01

全酪連は9月20日、10~12月期の牛用配合飼料価格を前期(7~9月期)に比べ、全銘柄平均1㌧あたり500円値下げすると発表した。トウモロコシ産地の天候回復に加え、米国農務省の需給見通しで在庫量の上昇予測を受けたことを背景に軟調に推移するシカゴ相場、円高の進行などが主な要因。


一方、牛用哺育飼料は1㌧当たり6500円値上げする。主原料である脱粉生産量は、オセアニアでの長期間の干ばつにより生乳生産量の減少が影響した。


また、JA全農は20日、10~12月期の配合飼料価格を全国全畜種総平均1㌧当たり約650円値下げすると発表した。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なる。

「中央酪農会議、台風被害へ義援金募集」――15号以外の被害も対象

2019-10-01

中央酪農会議はこのほど、大規模な停電や断水など酪農経営に甚大な被害をもたらした台風15号により被災した酪農家を支援するため、義援金の募集を開始した。募集対象は酪農関係の全国機関や指定団体、会員生産者組織の役職員や会員生産者組織、酪農家。義援金贈呈の対象とする災害は、台風15号など深刻な被害を生じた自然災害で、義援金の取り扱いは理事会で決める。口座番号等は次の通り。


金融機関=農林中央金庫本店、口座番号=普通預金7532280、口座名義=中酪台風災害等義援金(チュウラクタイフウサイガイトウギエンキン)

連絡先・MAP

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所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
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(指導部・全酪新報編集部)
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アクセス JR・都営大江戸線ともに
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