全酪新報/2023年9月1日号
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「2024年度概算要求、新規事業でチーズ生産拡大を支援」――酪農経営安定対策など継続要求

2023-09-01

農水省は8月31日、総額2兆7209億円(対前年度比20.0%増)とする2024年度概算要求を取りまとめた。酪農関連では、生乳需給の安定を目的とした新たなチーズ対策へ22億円を要求し、プロセス原料用などを含めた国産チーズの生産拡大を支援する。このほか、耕畜連携等による国産飼料の生産・利用拡大を後押しする新規事業に16億円を計上。酪農経営安定対策や畜産ICT事業など必要な予算も継続要求する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は9月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「農水省、適正な価格形成に向け初会合」――食料システム全体で検討

2023-09-01

農水省は8月29日、省内で「適正な価格形成に関する協議会」の初会合を開いた。このほど行われた「畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議」での議論・意見を引き継いだ上で、持続可能な食料供給の実現に向け、食料システム全体で適正な取引が推進される仕組みづくりを検討する。


6月に決定した「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」に基づき、生産から消費に至る各段階の関係者が協議できる場として設置された。▽統計調査の結果等を活用し、関係者の合意の下でコスト指標を作成する。これをベースに各段階で価格転嫁が行われるようにするなど取引の実態・課題等を踏まえた仕組みの構築▽適正な価格転嫁について、生産から消費までの関係者の理解醸成――が主な検討事項に挙げた。


生産コスト上昇分の見える化等が必要として、環境整備推進会議が7月に策定した中間とりまとめも踏まえて議論を進める。農水省は「中間とりまとめで記載されている専門家によるワーキングチームでの議論についても、生乳や牛乳・乳製品など品目ごとに議論を進めていく中で立ち上げることは十分にあり得る。品目別の議論の進め方は意見を聞いた上で決めていく」としている。


同協議会のメンバーは関係者18名で構成。酪農関係では、中酪の隈部洋副会長、乳協の沼田一政専務が参加している。

「第1四半期生乳需給、物価高騰等で牛乳消費3%減少」――加工乳は二桁増と伸長

2023-09-01

農水省牛乳乳製品課は8月22日、2023年度第1四半期(4~6月)の生乳需給を取りまとめた。生乳生産は生産抑制等により前年を下回った。消費面では物価高騰に伴う家計防衛意識の高まりなどから、牛乳生産量は3%減と前年度以上の低迷が続く一方、加工乳は12.2%増と大きく伸長している。本紙など酪農専門紙へ同課が動向を説明した。


第1四半期における全国の生乳生産量は189万6100㌧で前年同期比4.2%減。うち北海道は107万1300㌧で3.2%減、都府県は82万4800㌧で5.3%減。生産者による生産抑制の取組や飼料高騰の影響を受けた離農等が影響した。


一方、消費は、飲用牛乳等全体では88万1100㌔㍑で2.8%減。このうち牛乳は78万6300㌔㍑で3%減、成分調整牛乳は6万300㌔㍑で6.7%減とそれぞれ下回る一方、加工乳は3万4400㌔㍑で12.2%増と伸びた。このほか乳飲料は26万8300㌔㍑で3%減、はっ酵乳は25万5200㌔㍑で6.2%減と下回った。


乳製品生産量は脱脂粉乳3万9700㌧(7.8%減)、バター1万9千㌧(9.3%減)。期末在庫量は脱粉が6万9100㌧(33.6%減)とコロナ禍と比べ大幅に低下。バターは2万9900㌧(28.5%減)で適正在庫量以上の水準となっている。


8月からの製品価格改定の影響について牛乳乳製品課は「8月21日時点の小売価格店頭調査によると、店舗によりバラつきはあるが、最大で50円の値上げを確認している。引き続き消費への影響を注視していく」と述べた。その上で、農水省としても牛乳でスマイルプロジェクト等を通じ、牛乳・乳製品や酪農の理解醸成を推進していく姿勢を改めて強調した。

「農水省主催、千葉で酪農体験イベント開催」――親子連れが理解深める

2023-09-01

農水省は8月20日、千葉県八千代市で酪農体験イベントを開催。市内にある㈱加茂牧場(加茂太郎代表取締役)での酪農体験をはじめ、その後のトークセッションを通じて、参加した親子連れが生産コスト高騰で困窮する酪農の現状や生産者の努力、食卓を支える牛乳・乳製品の重要性や価格転嫁の必要性等について理解を深めた。


今回のイベントは食品の適正な価格形成に向けた消費者理解のための広報活動、「フェアプライスプロジェクト」の一環。同プロジェクトアンバサダーで、お笑いタレント・ボディビルダーのなかやまきんに君も参加し、イベントを盛り上げた。

「つなぎ牛舎用の搾乳ロボットで持続可能な経営へ」――㈱ピュアラインが輸入販売、作業時間削減

2023-09-01

酪農関連機器の輸入販売を行う㈱ピュアライン(健名里奈社長)は、つなぎ牛舎用搾乳ロボット「ロボマックス」(ミルコマックス社・カナダ)の輸入販売代理店となり、2019年より取り扱いを開始。同社は「投資額を抑えて搾乳を自動化し、省力化を図れるのが最大のメリット」と強調する。現在、北海道の酪農家10戸が導入済みであり、今後は国内全域へ普及拡大を進めていく方針だ。


ロボマックスとフリーストール用の搾乳ロボットとの大きな違いは搾乳時間を管理できること。搾乳は毎日決まった時間に設定(1~4回)できるほか、24時間連続運転も可能。導入にあたり通路上にミルクラインや電気ケーブル等を収めるサービストレイや個体認識用の識別タグなどの設置が必要となる。


自動的に各ストールを巡回するため「いつ牛が来るのか」と稼働効率を心配する必要もない。1頭当たりの搾乳時間(ロボットが到着し、次の牛へ移動するまで)は約9分。1台で60頭まで対応可能だ。


ケージはサービストレイ内のセンサーで位置を認識しながら移動する。識別タグは個体情報を管理するもので、個体ごとに搾乳回数や治療中など搾乳しない牛の情報を識別。小型レシーバージャーは搾乳した生乳を一時保管するもので、搾乳が終わるたびに送乳する。バルククーラー洗浄中はバッファタンクに貯乳され、洗浄後にバルククーラーに送乳するため自動搾乳を継続できる。


搾乳状態は乳頭別に監視するとともに、乳量や乳脂肪、乳糖、たんぱく質の成分測定機能や血乳検知機能も備えている。生乳はレシーバージャーにいったん貯乳されるため、バルククーラー内での血乳の合乳事故を防ぐメリットもある。


大型タッチパネルが標準装備(日本語表示)されているので、乳量やミルクフロー率、洗浄などのリアルタイム情報や搾乳、洗浄履歴を現場で確認できる。また、システムにカメラを追加することで、稼働状態を離れた場所から確認できる。


搾乳の流れは、ロボマックスが牛の背後に到着すると、ケージ入り口のフラップが牛床にかかり、2本のローラーが牛の両側から前方に移動し両肩を捉えてゆっくり後ろに下がりケージ内に牛を誘導。乳頭洗浄等を行った後に搾乳が始まる。


搾乳が終わると牛がケージから退出し、ストールが移動。ロボマックスが次の牛へと移動中にバルククーラーに送乳されるのでタイムロスがない。次に搾乳する牛の状態も監視しており、寝ている牛を起こす機能もある。片側の搾乳が終るとロボマックスが回転し、反対側の牛を搾乳しながら戻ってくる。


日常点検について同社は機器の洗浄、特にセンサー部分や駆動部分の清掃徹底を呼びかけている。メンテナンスサービスも提供しており、3カ月毎に消耗品交換や機器の点検等を実施。大きなトラブルの未然防止に繋げている。


機器の状態はメーカーやメンテナンス担当者らが遠隔監視できるシステムになっており、トラブルなど緊急時には状況を確認後、内容に応じて牧場主に復旧方法をアドバイス、あるいはメンテナンス担当者を派遣するが、復旧までに時間を要する場合、既存のパイプラインミルカーで搾乳を行う。


導入までの流れは、①導入コンサル②牛舎改修③設置工事(導入研修)④試験運転(搾乳馴致)⑤運用開始となる。酪農家ごとに牛舎の構造や大きさが違うため、導入予定の1年ほど前から計測調査や施設に改修が必要な場所の確認、導入計画などを打ち合わせながら準備を進める。


ロボマックスのお問い合わせは㈱ピュアライン最寄りの営業所まで。


9月1日号記事5-図

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