全酪新報/2023年6月20日号
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「価格形成会議、畜種ごとにWT設置へ」――生乳・酪農は先行し議論

2023-06-20

畜産・酪農の適正な価格転嫁をめぐる議論について、農水省は6月13日の会合で中間とりまとめの方向性を協議。乳価への生産コスト反映だけでなく、小売りや消費者も含めたバリューチェーン全体を検討範囲として検討を進めるほか、畜種ごとにワーキングチーム(WT)を設置・協議する。今後中間とりまとめとして整理し公表した後にWTを立ち上げ、生乳と酪農を先行して議論をスタートする方針。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は6月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「燃油サーチャージ応用に慎重な対応求める声相次ぐ」――価格形成会議・第2回会合の概要公表

2023-06-20

農水省は6月13日、「畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議」の第2回会合の資料と議事概要を公表した(一部非公表)。第1回会合で意見として上がった、燃油サーチャージの制度を応用して配合飼料価格の上昇分を価格へ上乗せする仕組みの実効性について多くの委員が指摘。配合飼料以外の生産コストも踏まえて幅広く検討する必要性、消費者理解の重要性、専門家を交えた議論の展開など慎重な対応を求める声が相次いだ。


資料によると、適正な価格形成に向けた仕組みの構築について▽畜種ごとに専門家を交えたWTで検討すべき。他の畜産物と異なり、価格交渉を行う生乳から検討を開始してはどうか▽経営に与える影響の大きい飼料費に着目し、燃油サーチャージを応用した仕組みの検討――などを検討の方向として整理。


このうち飼料版サーチャージの仕組みについて、委員からは「生乳取引の実態を踏まえた十分な議論を行い、生産者や乳業者のみならず、小売や消費者の理解を得た仕組みにする必要がある」「専門家も参加した上での議論が必要」「サーチャージ制の導入は販売価格の変更が伴うことから、現在国が推進している輸出拡大を阻害する要因となる」など指摘する声が相次いだ。


また、実際に燃油サーチャージを応用した仕組みを利用する場合の指摘として「サーチャージ分に相当する額の『見える化』が必要。具体的には、牛乳の小売価格に消費税のように別記するなどの対応が必要になる」との意見もあった。


このほか、生産コストを反映した仕組み作りに向けて「実効性のある仕組みとするため、最終的には、生産者からメーカーだけでなく、小売・消費者までバリューチェーン全体を巻き込んだ法律に基づく仕組みとすることが必要」「生産者間の公平性の確保に向け、生産調整に協力しない生産者への適切な指導や、生産者間の公平性の確保を図れるような制度運営の改善が必要」など、環境整備に関する意見も多数上がった。


一方、適正な価格形成には消費者への理解醸成が重要なことから、情報発信の在り方や周知に必要なパンフレットの案をめぐり多くの委員が指摘。各種コストの上昇を適正に小売価格へ転嫁できていない現状を分かりやすく、丁寧に伝えていく必要があるといった意見もあった。

「牛乳消費の減少幅が縮小」6月5日週・Jミルク需給短信――動向引き続き注視

2023-06-20

Jミルクが6月15日に公表した直近(6月5日週)の家庭用牛乳等の販売状況によると、牛乳の販売個数は前年同期で1.7%減少となった。100%を割っているものの、気温の上昇や記録的な大雨が発生した前週より天候が落ち着いたこと等もあり、前週やそれ以前と比べて本数は増えて減少幅は縮小した。


このほか、成分調整牛乳は14.0%減、加工乳は9.1%減、乳飲料は0.1%減。牛乳類全体では前週より微増している。減少幅はそれぞれ縮小しているが、前年同期は例年より気温が低く降水量が多かったため、その反動の可能性もあり、動向には引き続き注視が必要。


また、ヨーグルト類はドリンクタイプ、個食タイプ、大容量タイプと全ての品目で微増となり、減少幅は縮小した。はっ酵乳全体としては依然として前年を下回って推移している。

「牛乳値上げ、価値・評価追いついていない」Jミルク川村会長――低調な消費動向に指摘

2023-06-20

Jミルクの川村和夫会長は、昨年11月の飲用・はっ酵乳向け乳価、今年4月の乳製品向け乳価引き上げの影響について言及し、「これら値上げによる製品への価格転嫁によって、牛乳・乳製品の消費は未だ低調と言わざるを得ない。生活必需品や電気料金等の値上げによる節約志向の中で、消費者の牛乳・乳製品への価値や評価が値上げした価格に追いついていない状況だと思う」と指摘した。


その上で、引き続き脱脂粉乳在庫削減対策や消費拡大推進の重要性を強調するとともに、理解・協力も呼びかけた。Jミルクが6月16日に都内で開いた定時総会の冒頭挨拶で述べたもの。


今後の消費動向や製品価格について、川村会長は「今年8月からの飲用・はっ酵乳向け乳価引き上げ、乳業者におけるエネルギーや物流コストの増加等への対応を考慮すると、店頭価格は20円から30円という大幅な値上げになると考えられる」と述べ、短期間の連続した価格改定による消費への影響に対して懸念を示した。


一方、在庫対策を講じない場合は再び脱粉在庫が積み上がる恐れがあることから「円滑な生乳処理を踏まえ、引き続き需要に応じた生産と、生産者と乳業者が共通理解として在庫対策にしっかり取り組む必要がある」と強調。消費拡大に向けて、JミルクとしてもSNSを活用した取り組み等を展開していることを説明した。


また川村会長は、農水省が現在検討を進めている適正な価格形成をめぐる議論に触れ、「ミルクバリューチェーンには他にない特徴があるので、この点に十分注目しておく必要がある」との見解を示した。

「Jミルク新会長に大貫陽一氏(森永乳業社長)が就任」――課題解決へ協力呼びかける

2023-06-20

Jミルクが6月16日に都内で開いた2023年度定時総会及び第2回理事会では、任期満了に伴う役員改選が行われ、川村和夫会長は退任し、森永乳業㈱代表取締役社長の大貫陽一氏が新たに会長に就任した。総会後に行われた懇親会の席上、大貫会長は就任にあたり「短期的課題としては需給の改善は必須で、さらには牛乳・乳製品の価値はもちろんだが、色々な面で消費者の理解を得ることも重要だ。また、中長期的には、自給率や食料安全保障、サステナビリティを視野に入れながら取り組みを進めて行く必要がある」と重視すべき課題を指摘するとともに、関係者の理解・協力を呼びかけた。


役員改選ではこのほか、常務理事に清水隆司氏(学識経験者、森永乳業より出向)、理事に松田克也氏(日本乳業協会会長)、宮嵜貴浩氏(全国牛乳流通改善協会副会長)が就任した。

「九州生乳販連、消費拡大へ牛乳を無料配布」――ハッピーミルクフェスタin鹿児島

2023-06-20

九州生乳販連は6月10日、牛乳月間における牛乳消費拡大運動として、鹿児島中央駅アミュ広場にて「ハッピーミルクフェスタin鹿児島2023」を開催した。牛乳の無料配布や試飲、酪農家らによるトークイベントなどを通して牛乳の魅力や美味しさをアピールし、牛乳消費拡大への協力を呼びかけた。


イベントでは「LL牛乳」「九州の牛乳の魅力を伝えるリーフレット」「土日ミルクリーフレット」などを2千セット配布したほか、模擬搾乳体験や哺乳体験、エサ展示の他、ステージイベントなどが実施された。


ステージイベント第1部では、鹿児島県酪農協の轟木孝一組合長と九州生乳販連の稗島喜美男常務が登壇し、九州の酪農の現状を説明、今後も変わらぬ牛乳の愛飲を訴えた。


第2部では、鹿児島県の酪農家、二反田登志子さん(湧水町)、莚平康子さん(曽於市)、横山美樹さん(東串良町)、溝口剛さん(曽於市)の4名が登壇し、酪農の楽しさや牧場自慢、牧場でのハプニングなどのフリートークで会場を盛り上げた。最後に、飼料等生産費の高騰により酪農経営の厳しさが増すなか、消費者の変わらぬ牛乳愛飲が励みになるとして「牛乳をもっと飲んでほしい」と来場者に呼びかけた。


会場を訪れた消費者からは「酪農家の厳しい状況を理解した。牛乳は大好きなのでこれからも飲みます」という声もあった。また、参加した酪農家は「厳しい経営状況が続いているが、組合や乳業メーカーなどと一緒に明るいイベントが出来て良かった」と話した。


イベントには鹿児島県酪乳業㈱や南日本酪農協同㈱のほか、中央酪農会議、全酪連等が協力。イベントについて九州生乳販連は「牛乳・乳製品は昨年11月から価格改定が続き、さらに8月には牛乳の再値上げがある。消費者には値上げの背景を理解いただき、引き続き牛乳・乳製品を利用してほしい」としている。

「酪農ヘルパー事業を強化へ、常勤の専務理事に桑原芳彦氏」――6月15日

2023-06-20

酪農ヘルパー全国協会は6月15日、東京・代々木の酪農会館で令和5年度定時会員総会及び役員会を開催。任期満了に伴う役員改選では、隈部洋会長、折原敬一副会長をそれぞれ再任したほか、専務理事に桑原芳彦氏(元農水省近畿農政局地方参事官)を新たに選任した。

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(業務部・共済制度)
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