全酪新報/2023年8月1日号
購読お申込みはこちらから

「乳製品国家貿易、毎月のバター入札量に強弱」――需要期の安定供給へ見直し

2023-08-01

今年度のバター等の国家貿易の運用について、農水省は7月28日、毎月定量で行っているバターの入札量に強弱を付けるなど柔軟に運用していく方針を示した。輸入量は生乳需給が緩和傾向にあることから引き続きカレントアクセス(CA、生乳換算13万7千㌧)の範囲内で行う。現時点で全体としてバターが不足する状況にはないが、需要期の安定供給に向けて入札の運用を見直す。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

お断り=本記事は8月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「乳価値上げ、さらに消費へ影響の可能性」――Jミルク内橋専務が指摘

2023-08-01

8月から全国で飲用及びはっ酵乳向け乳価が㌔10円値上げとなり、牛乳等の製品価格も値上げされる。7月28日に農水省内で行われた生乳需給見通しに関する記者説明会で、Jミルクの内橋政敏専務はその影響について「昨年11月の値上げは、プライベートブランド(PB)や一部量販店が価格改定をずらした中で、9月に見通したほど消費への直接的な影響は昨年末まで見られなかった」と述べた。


その一方、「足元では牛乳類を中心とした需要は低調で、8月からの乳価値上げは今の水準よりもさらに一段影響が生じる可能性が高い。PBも含め店頭価格上昇を見込めば、消費への影響を丁寧に注視していく必要がある」と指摘した。


前回11月の乳価値上げの影響について、昨年9月の需給見通しでは、牛乳生産量は11月が3.2%減、12月は4.5%減と予測。一方、実績を見ると、11月の牛乳生産量は1.6%減、12月の生産量も3%減と当初の想定よりは減少幅が縮小していた。


対して今回の見通しによると、8月からの値上げによる牛乳への影響は、8月は5.3%、9月は3.3%落ち込むと予測。全国的な猛暑の予報から、夏場の需要期の後押しも考えられるものの、加工向けも含め3回目となる価格改定であること、食品全体の値上げも考慮すると、消費への影響は無視できない。

「配合飼料4~6月期、補てん金1㌧当たり7050円交付」――特例措置を適用して算定

2023-08-01

全国畜産配合飼料価格安定基金など各基金団体はこのほど、2023年度第1四半期(4~6月)を対象に「1㌧当たり7050円」の補てん金交付を決めた。補てんの発動は10期連続。当期については従来の算定では補てんの発動はないが、配合飼料価格が高止まりしても発動しやすくなるよう、今年度より措置された発動条件を緩和する特例を適用し算定した。


当期の直前1年間の平均輸入価格である基準輸入原料価格は5万7659円で、平均輸入原料価格は5万4540円。一方、特例措置の算定に適用する過去2.5年間でみた基準輸入原料価格は4万4613円。特例の発動条件は2年(8四半期)連続で補てんが発動している等。補てん額の上限を前四半期の4分の3とするなど、算定ルールを適用した結果、通常補てん分4230円、異常補てん分2820円(見込み)で計7050円の交付となる。

「全酪連の隈部洋会長、関係団体と連携一層強化」――酪農理解醸成、消費拡大に努める

2023-08-01

全酪連が7月27日に都内で開いた通常総会の主催者あいさつで、隈部洋会長は新型コロナウイルスの感染症法上5類移行等に伴い見込まれるインバウンド需要の回復、対策による脱脂粉乳在庫の削減や飼料価格高騰対策、8月からの乳価値上げ等について触れるとともに「(酪農情勢は)依然として厳しいものの、少しずつ光も見えてきている」と強調。一方、値上げによる消費動向を注視するとともに、関係団体との連携を一層強化し、酪農理解醸成活動や消費拡大運動に努めていく考えを示した。


また隈部会長は、21年度に全酪連が策定した将来ビジョンに関して言及。「この計画を着実に実行し、現場の酪農家に寄り添う姿勢を明確にする。酪農家が前を向いて進めるよう、直面する様々な課題に対応し、持続可能な酪農環境を目指していきたい」と事業推進に意欲を示した。

「広島県酪農協、広島球場で牛乳の魅力発信」――広島東洋カープとコラボ

2023-08-01

広島県酪農業協同組合は7月22日、広島市内の「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」で牛乳消費拡大・理解醸成イベントを実施した。牛乳・乳製品の価値発信等を目的に、農水省とJミルクが立ち上げた牛乳でスマイルプロジェクトの取り組みの一環。県民が熱愛するプロ野球チーム「広島東洋カープ」とのコラボレーション企画で、同組合オリジナル公式ソング『牛乳そんぐ』の歌や踊りを披露する催しやグッズ配布等により牛乳の魅力を発信した。


8月1日号記事5-画像

真夏の強い日差しの中、約3万人の観客を前に元気いっぱいの踊りと歌を披露した(写真提供=広島県酪農業協同組合)

「埼玉県酪農協会等が講演会、3氏が需要拡大の重要性強調」―― 酪農経営の安定に向け議論

2023-08-01

埼玉県酪農協会など県内畜産4団体が主催する「23年度酪農講演会」が埼玉県深谷市内で開かれ、農水省牛乳乳製品課の平田裕祐課長補佐、関東生乳販連の迫田孝常務、埼玉酪農協の木本栄一組合長(酪政連副委員長)が「酪農の現実と課題について」をテーマに講演した。


講演では8月から牛乳等の価格が再値上げされることから消費の減少を懸念。仮に飲用向けが減り加工向けが増加すればプール乳価は低下するとして、酪農経営の安定には、3氏とも「牛乳の需要拡大や消費者に対する理解醸成活動が重要だ」と強調した。平田氏は「国としても引き続き支援していきたいが、我々がYouTube等でアピールしても酪農家の生の声にはかなわない。ぜひ一緒に消費拡大に取り組んでいただけばありがたい」と述べた。


また、迫田氏は酪農家戸数減少の加速により、従来は中長期的取り組みとしてきた「より広い需給調整体制の構築や脱粉等の在庫削減対策事業の複数年度事業への拡大、新たな広域酪農協の設立などの取り組みを前倒しして検討を急ぐべきだ」との考えを述べた。その際には、いわゆる系統外出荷酪農家が事業に参加しやすい内容も併せて検討すべきとし、「例えば過剰時だけでなく不測時のセーフティーネットのような(系統外出荷者に参加しやすいような)事業にできないか、今年度から検討が始まることになっている」と述べた。


関連して木本氏は、(今回のように)生産費の急上昇に対して、乳価の引き上げ、価格転嫁までの間には「タイムラグ(期間のズレ)がある」として「酪農家はその間に資金対策や政府・自治体等の対策がなければ経営的に我慢ができない」と生産現場の実態を訴えた。そのタイムラグを埋める対応策として生産者、乳業者、国による基金造成を提案。「ほとんどが赤字で苦しんでいる酪農家の皆さんから、入口対策・出口対策のために今回、㌔80銭の資金を拠出して頂いた。(仮に今後も)乳業に同額、そして国には基金造成のために㌔90銭の予算を要請すれば、計2円50銭となる。10年間積み立てたら、今回のような異常事態が起きたとしても㌔25円の生産費上昇に1年間カバーできる」として、酪農家の経営安定のためや需給調整を行うための基金新設を提言した。

「牧場で輝く家畜の命」連載㉗瀧見明花里さんの写真エッセイ

2023-08-01
牧場で輝く家畜の命㉗ A

村上牧場レプレラ(北海道せたな町)のキナコ(ブラウンスイス)

牧場で輝く家畜の命㉗ B

ソラ。キナコの第二子

この日は、キナコの第二子の出産予定日。牧場に到着するや否や、一目散にキナコの元へと向かいました。私の姿を見て、まるで覚えているかのように、ゆっくりと近づいて目の前で止まるキナコ。「お久しぶり。覚えてる?」と語りかけながら、撫で撫で。どうしてこんなにもキナコが愛おしいのかと親バカを発動しながら、静かにその時を待ちます。


時は過ぎ、翌朝4時。「産んでいました」と連絡が入りました。第一子のダイズちゃんに引き続き、その瞬間に立ち会うことはできませんでしたが、安産で元気な女の子を産んでくれました。牧場の子供と名前を相談し、キナコの子は豆シリーズに決定。そら豆からソラちゃんと命名しました。


とってもお天気の良い日に生まれてきたソラ。意図せずとも、ぴったりな名前となりました。今から、ソラがどんな性格の牛になるのか楽しみです。これからも、キナコファミリーを温かく見守っていきたいと思います。(全酪新報では毎月1日号に掲載しています)


プロフィール


瀧見明花里(AKAPPLE)


農業に触れるためニュージーランドへ1年3ヶ月渡航。2017年より独立。『「いただきます」を世界共通語へ』をコンセプトに、牛、豚、鶏をはじめとする家畜動物を撮影、発表。家畜の命について考えるきっかけを届けている。


※写真の無断使用はご遠慮下さい

https://photographer-akapple29.com/

連絡先・MAP

一般社団法人 全国酪農協会
所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
     :03-3370-5488
(指導部・全酪新報編集部)
     :03-3370-7213
FAX番号 03-3370-3892
アクセス JR・都営大江戸線ともに
「代々木駅」から徒歩1分
全酪アカデミー 酪農ヘルパー全国協会 日本ホルスタイン登録協会 GEAオリオンファームテクノロジーズ株式会社 株式会社ピュアライン 株式会社セイワ あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 東京海上日動火災保険株式会社 海外農業研修生募集 相互印刷株式会社 西桜印刷株式会社 警察庁防犯教室

購読お申込み


このサイトに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。
Copyright © The Dairy Farmers Association Of Japan. All right reserved.