全酪新報/2019年7月1日号
特集/暑熱対策

夏季の暑さ対策に遮熱塗料 牛舎内温度の差はっきり実感
相乗効果で乳量2割増 宮崎県宮崎市 石川牧場

2019-07-01 暑熱対策

宮崎県宮崎市の石川幸保さん(65歳)の牧場は、総飼養頭数160頭(うち搾乳牛は140頭)。年間出荷乳量は1,500㌧ほど。そのほか、年間70頭ほどの和牛を出荷している。経営方針は増産を目標に乳牛の改良や暑熱対策の設備投資などに積極的に取り組んできたことだ。


石川牧場では、牧場にある3棟の牛舎は夏の暑さ対策を重視した設計で、建物には壁はなく風通しがよい。牛舎内の熱は屋根から抜けられるように、棟がない構造をとっており、暑さ対策に工夫。遮熱塗料等との相乗効果により乳量2割増を実現している。


現在は細霧機能を備えた大型扇風機を1棟に40台設置。しかし、厳しい猛暑となった13年は7~8月に全く雨が降らず、気温は夜10時を過ぎても30度を下回らない日も多く、牛の食い込みは下がり乳量が減少。「これまで暑熱対策を進めてきたが、あの暑さを経験してから、さらに対策を進めることの必要性を実感した」と石川さん。「種は全くつかず、11月頃になってからようやく付き始めた」と当時を振り返った。


翌年の春先になると夏に向け、暑熱対策を取引業者と相談。紹介されたのが畜舎の屋根に塗布するペンキタイプ遮熱塗料の「せっかいSRS暑熱対策タイプ」だった。特殊なアクリル水性樹脂と消石灰、特殊なセラミックなどを混合し、屋根に吹き付けるものだった。「次の暑熱対策は屋根しかないと思っていた。石灰は暑熱対策に有効と考えていたこともあり、とりあえず1棟のロボット搾乳牛舎に遮熱塗料を塗布してみることにした」と石川さん。屋根の面積はおよそ2千平方㍍あり、施工費は200万円ほどだった。


実際に夏を迎えてみると遮熱塗料の効果をはっきりと感じ取ることが出来た。「はっきり実感したのは牛舎内温度の違い。直腸検査した獣医師も体温に違いがあることを指摘した。何よりも飼料の食い込みが良くなった」と説明する。


その結果、1頭当たり年間乳量は9,500㌔から1万1,500㌔へと大幅に増加。石川さんは「暑熱対策と同時に導入した搾乳ロボットとの相乗効果で大幅な増産につながった。目標の1万2千㌔までもうすぐだ」と笑顔を見せた。


遮熱塗料の効果をしっかりと確認できたことで残りの2棟(乾乳・和牛とパーラ搾乳牛舎)にも塗布することを決意した。


石川牧場は同じ町内の国有林に囲まれた20㌶ほどの開拓地で営農していたが、05年に現在地(ゴルフ場跡地)を購入し移転した。牧場は住宅地から離れた小高い山の上にある。


労働力は現在、石川さん夫妻と長男夫婦4人の家族経営。そのほかに2人の外国人研修生がいる。生乳増産をめざし規模拡大を進めるうち、徐々に労働負担が重くなり余裕がなくなっていった。そこで作業の省力化を図るため14年に畜産クラスター事業を活用して搾乳ロボットを導入した。「省力化はもちろんだが、搾られたくなったら機械に入っていくため牛がストレスから解放された点は大きい」と導入目的を説明した。その効果は「乳房炎の菌床となる漏乳がなくなったことで乳房炎が激減した。作業時間にも余裕が生まれ、畜舎の衛生管理にも手が回るようになった」とメリットを紹介した。


石川さんは「将来もう1台搾乳ロボットを導入し、搾乳牛180頭を搾りたい。規模拡大に限りはない」と経営展望を語った。

グリーン環境マテリアル 「せっかいSRS暑熱対策タイプ」
熱遮り温度上昇抑える 屋根表面20℃、室内は5℃低下

2019-07-01 暑熱対策

牛舎の屋根にペンキタイプの遮熱塗料を塗布することで、屋根の表面温度は平均すると20度程度、室内空間は5度低下する高い遮熱効果と抗菌性能を持つ遮熱塗料が注目されている。環境改善資材メーカーである㈱グリーン環境マテリアル(本社=鹿児島市・早見隼人社長)が、酪農家や畜産農家の要望を取り入れながら開発したもので、畜舎内の暑熱対策と同社製品で遮熱対策を図っている宮崎県の石川牧場(別掲)では、14年春に遮熱塗料を導入し、効果をあげている。


同社の遮熱塗料は畜舎に限らず工場や事務所の屋根など幅広い用途で利用されている。


効果を実感 牛舎3棟に


利用酪農家の一人である石川牧場では14年に暑熱対策のために同製品を塗布し大きな効果を得られた。このため3棟すべての牛舎の屋根に塗布することを決めた。製品の「せっかいSRS暑熱対策タイプ」は㈱福元技研とサンライズ産業㈱の2社が同社に技術協力し開発。消石灰で光を反射し、特殊セラミック紛体が熱を遮るため屋根の温度上昇を抑えることに大きな効果があり、早見社長は「ガルバリウムの屋根は表面温度が70度近くまで上昇することがある。この製品を塗布した場合、45度以上になることはない」と語る。


また、石灰の持つ抗菌効果で表面にカビやコケが生えにくく、水性アクリル特殊樹脂コーティングにより耐久性も高い。効果の持続期間は剥がれるまで持続。「白い塗料のため長年利用していると汚れが目立ってくるが、遮熱効果への影響は少ない。10年以上は持つ」と同社。製品開発では「農家から課題や要望などを聞き、利用しやすい価格帯を検討。その価格に向けて製品開発を進めてきた」と低コスト化を最優先課題とし、普及拡大を図っている。


夏季に効果があるのは遮熱


早見社長は「遮熱と断熱の違いを理解してほしい。夏季に効果があるのは熱を遮る遮熱効果のある製品だ。断熱材を建材に使用すると暑熱対策にはならない」と語る。


その理由は「断熱材は外の熱を中に伝えるまでに時間がかかるというだけのもの。建物自体は熱を保持し続け室内に伝わると、外気温が下がっても断熱材に遮られ熱は外に逃げにくくなってしまう。夏季には建物自体が熱を持たない遮熱対策が必要」と説明した。


同社の製品はSRS樹脂と消石灰、特殊セラミック粉を混ぜて使用するもので、1セットでおよそ70~90平方㍍を塗布できる。価格は4万5千円(送料・消費税別)。全ての塗布施工を業者に依頼する場合には剥離保障をしている。製品に関する問い合わせは㈱グリーン環境マテリアルまで。電話099(298)4056。

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