全酪新報/2017年8月1日号

「酪政連が政府・国会に家族経営への事業重点要請」――TPPとEPA万全な国内対策も

2017-08-01

酪政連(佐々木勲委員長)は7月25日、東京・永田町の自民党本部で常任・中央委員合同委員会を開き、2018年度予算確保に関する要請事項を決定し政府・国会に要請活動を行った。酪農家戸数の減少に歯止めがかからない中、経営安定対策と担い手確保対策の充実・強化を前面に出し、後継牛確保対策のほか、家族経営が使いやすい事業の実施に重点を置いて要請した。また、日EU・EPA、TPPに関しては、酪農経営を永続できるよう、万全な対策を求めた。

お断り=本記事は8月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「政府・与党、11月に日EU・TPP対策」――チーズは競争力強化を重視

2017-08-01

自民党日EU等経済協定対策本部(西川公也本部長)は7月20日、7回目の会合を開催した。政府・与党は日EU・EPAの国内対策は、TPP対策と合わせて11月に取りまとめる方針を明かした。懸念されるチーズについては、競争力を高める対策を検討する。


冒頭、西川本部長は「政府側には出来るだけ早く影響調査を行っていただきたい。それに基づく対策を練っていく。何が影響を受けるのか、守るべきところは守れるように対策を立てていく」との考えを述べた。


石原伸晃TPP担当相は「不安を抱える声もある。党の意見を十分踏まえ政府・与党一体となって取りまとめたい」と述べた。政府側は7月14日に閣議決定された「日EU経済連携協定(EPA)交渉の大枠合意を踏まえた総合的な政策対応に関する基本方針」について政府側から説明。「今回の合意内容や意義等について国民への説明を丁寧に行うほか、経済効果分析も含め必要な政策の検討に着手する」との方針を明らかにした。


意見交換の中で議員からは「EPA大枠合意による農業者の不安を払拭することが極めて重要だ。また、TPP関連政策大綱をしっかりと前進させてほしい」「国内対策をしっかり検討いただきたい。特に酪農の分野に不安が広がっている。素牛の増頭と生産基盤強化への取り組みを合わせてお願いしたい。また、チーズの補給金を別枠で設けるよう検討していただきたい」などの意見が出た。


その反面、小泉進次郎農林部会長は「心配事は守りの部分。ずっと守りを貫いてきた。一方で攻めがある。この両面をしっかり踏まえた対策が必要だ。生産支援だけでなく、輸出拡大への対策も実施すべき」と強調した。


これに対し農水省の大野高志畜産部長は「酪農の対策、チーズの対策では、原料・製造両面で日本産チーズの競争力を高めるための対策を検討したい」と考えを示した。

森山前農相「補正で国内対策予算確保、チーズは日本全体の問題」

2017-08-01

自民党の森山裕前農相は7月25日、酪政連の常任・中央委員合同委員会に出席し、挨拶の中で「今年度の補正予算は、12月までに編成されることに間違いない。そこでTPP枠と日EU・EPA枠としてどれだけ対策予算を確保できるか。与党としてしっかりと間違いない対策を実施することが重要だ」との考えを示した。


このほど合意した日EU・EPAについて森山前農相は「TPPの次はEUとのEPAと、心の休まる時間がないのが酪農家の本音ではないか」と述べた上で「色々な考え方があるが、対策をしっかり実施すれば、酪農家が再生産に取り組める水準で合意できたと思っている」と総括した。


また、「チーズの問題になると、どうしても乳製品の加工が8割を占める北海道の問題と捉われがち。しかし、そのバランスが崩れると、日本の酪農全体の問題になる。オールジャパンで取り組まなければならない」と指摘した。一方、アメリカの離脱後、11カ国で協議が進められているTPPに関しては「11月には一定の結論が出るだろう。いずれにせよ、TPPはスタートする前提で国内対策を急がなければならない」と述べた。

野村参議「喫緊の課題は畜安法の政省令制定、生産者にも智恵求める」

2017-08-01

酪政連の会合に出席した野村哲郎参議は「喫緊の課題は改正畜安法の政省令の制定。農水省は日EU・EPAが急速に進展したため、エネルギーをそちらに取られたが、10月には定めると聞いている。販売計画の立て方などの仕組みをしっかり守れるのか。そこが争点になるだろう」と述べた。


その上で自民党の今後の方針について「畜産・酪農対策小委員会を中心にして議論を進めたい。政省令の制定に向け、我々は農水省と議論するが、生産者側にも良い知恵を出してほしい」と求めた。


また、野村参議は日EU・EPAについて「良い交渉ができたと思っている。日本からの輸出には7割が有税、輸入の7割は無税。自動車の輸入関税はゼロ、輸出には10%の関税がかかるほか、日本から乳製品や豚肉、鶏卵は輸出は出来ないという不均衡な貿易がなされている。そのことを考えると、いい結果を残した交渉だったのではないか」と感想を述べた。

「生産力維持・向上待ったなし」――全国大会で高橋北海道知事

2017-08-01

7月13~14日に札幌市内で開かれた第46回全国酪農青年女性酪農発表大会で、開催地の代表として来賓出席した高橋はるみ北海道知事は、北海道の酪農情勢について「全国の多くの地域の酪農家の皆様と同様、高齢化あるいは担い手不足という課題を抱えているところであり、生産力の維持・向上と活力ある農村の形成はまったなしの状況にある」との認識を示した。


さらに、7月6日に大枠合意した日EU・EPA交渉について、酪農乳業においても関税引き下げ等による競争激化に懸念を示し、北海道として「今後も担い手の皆さんがこれまで以上に意欲をもって営農出来るよう、国に万全の対策の実施を強く要請するなど、農業が将来に亘って発展していくために全力で取り組む」と述べた。


また、同大会の開催にあたり、高橋知事は「営まれる地域や形態は違えども、必ず皆様の経営の参考になるものが得られると思う。ぜひこれらの成果をそれぞれの地域に持ち帰っていただき、いかなる国際環境、経済社会情勢の変化にあっても、更なる高見を目指して取り組んでほしい」と出席した酪農家にエールを贈った。

「食料・農業・農村政策審議会の酪農家委員に知久氏(千葉県野田市)」

2017-08-01

農水省は7月26日、省内講堂で食料・農業・農村政策審議会を開き、新たな基本計画の策定など、今後の農政に関する議論を再始動した。審議会の会長には中嶋康博氏(東大大学院教授)が就任。7月6日付で酪農家の知久久利子氏(千葉県野田市)が委員に選任された。


会議に出席した山本有二農相は「19名中、15名に新たに就任していただいた。日EU・EPAが大枠合意し、新たな国際環境に入る。TPPの早期発効への取り組みを含め、今後諸外国との競争力に打ち勝つため、国際競争力を強化し、輸出産業への成長を目指した強い農林水産業の構築が急務と考えている」と抱負を述べた。

「九州北部豪雨の酪農被害、飼料流出、バルク損傷など発生」――今後の粗飼料不足に危惧

2017-08-01

7月5日、福岡県と大分県を中心に豪雨による被害が発生。全酪連の調べによると、浸水による飼料の流出や落雷によるバルククーラーの損傷が福岡県で10戸、大分県で6戸、生乳廃棄は福岡県で7戸、大分県で2戸発生した。大量のロールサイレージが流出した被害も報告されている。24日現在、大分県日田市で1戸の酪農家が孤立状態にある。


7月24日に開催された九州生乳販連の総会で尾形文清会長(ふくおか県酪農協組合長)は「ラップした飼料が材木と一緒に流れてしまい、農家や農協・全国連の職員、地元の人たちと一緒に1週間から10日間かけて片付けた。しかし、使えるものではなく、粗飼料がなくて困っている」と報告。その上で「災害はいつどこで発生するのか分からない。日頃の備え、心構えが必要だ。お互い協力し合うことが重要だ」と述べた。


また、清末健一副会長(大分県酪農協組合長)は「7月5日に対策本部を設置し、組織でなければできないこと、農家が求めていることを全てやる思いで取り組んでいる。高齢化が進む中、若い酪農家が一所懸命頑張っている。彼らにも組織は皆で作るものということを勉強してもらわなければ、日本の酪農、九州の生産基盤は維持できない」と組織の重要性を強調した。

「初妊強含み、85~95万円」――大規模経営の導入意欲旺盛

2017-08-01

全酪連札幌支所によると、8月1日現在の初妊牛価格は85~95万円でやや強含みで推移する見込み。一方、育成牛(10~12月齢)は60~70万円、経産牛は55~65万円でともに横ばいで推移すると見ている(各管内の動向は9面に掲載)。


初妊牛動向は10月以降の分娩腹が中心。7月は横這いの予想も弱含みで推移した。8月の相場は残暑が残る時期での乾乳、分娩となるため、例年であれば需要が限定的となるが、道内外のメガ・ギガファームの導入意欲が非常に強いことから、初妊牛相場は上昇すると予想している。腹別では依然としてF1腹の需要が最も高いが、資源的に少ない雌雄選別腹の需要も高い。

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