全酪新報/2016年10月10日号

「生乳生産を確保へ、来年度に乳牛緊急輸入」―Jミルクの特別対策に乳業メーカーが財源を拠出

2016-10-10

Jミルクは10月3日、来年度より「酪農乳業産業基盤強化特別対策」を実施すると発表した。乳業メーカーの拠出による基金を造成し、海外から乳牛資源の輸入など緊急的な増頭対策を進めることで、需要に応じた国内生乳生産量の確保を目指す。前田浩史専務は酪農生産基盤の弱体化に強い危機感を示し「生産者の取り組みにあわせて、乳業者にも財源を拠出してもらうことで、生・処一体で事態の打開を目指す」と説明した。

お断り=本記事は10月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「バター4千㌧再び追加輸入、年明けから順次売り渡し」―農水省「予断を持たずに対応」

2016-10-10

農水省は9月27日、今年度カレントアクセス(CA、生乳換算13万7千㌧の輸入義務)枠外でバター4千㌧(生乳換算4万9360㌧)を追加輸入すると発表した。追加輸入は今年度2度目で、年明けから順次輸入する。農水省によると、年末の最需要期を控えたバター在庫量は十分に確保されているが、今後の需給変動の可能性や、夏場の都府県の猛暑や8月の台風被害等の影響を考慮し、年度内の安定供給に万全を期すため輸入を判断した。


国は5月、年末の最需要期に向けてCA枠外でバター6千㌧(同7万4040㌧)、脱脂粉乳2千㌧(同1万2960㌧)、加糖れん乳500㌧(同3345㌧)の追加輸入を決定し、輸入・売渡しを手当て済み。


年度内に2回の追加輸入の判断は、2014年度以来2年ぶり。ALICが10月より輸入入札を行い、年明けから順次売渡す。


同日、記者会見した松本平牛乳乳製品課長は、今回の追加輸入量はJミルクが同日公表した需給見通しを基に、生乳生産が今後下ブレ、バター消費が上ブレした場合を想定し、夏場の西日本を中心とした猛暑や8月に相次いだ台風被害等の影響も考慮したことを説明。「生乳生産回復を期待しているが、予断を持たずに対応する。(今後の需給を)厳しく見積もって判断した」と述べ、国として年度内のバター安定供給に万全を期す考えを示した。


仮にJミルクの見通しよりも過去5年間で生産が下ブレしたときの水準と、同様に過去5年でバター消費が最も上ブレした水準となった場合でも、追加輸入により今年度末のバター在庫量は2万4千㌧となる見込みで、バター需給が安定していた2013年度と同水準の在庫を確保できる。


なお、今回の追加輸入については、農水省とALICが同日開いた乳製品需給等情報交換会議の第2回会合で、小売・流通、製菓業界等から意見を聞き取りした。松本課長によると、出席者からバター需給をめぐる情報発信や安定供給のあり方について意見が出た。


CA枠外での今年度の乳製品追加輸入量は生乳換算で計13万9705㌧となる。2014年度は計18万8千㌧(バター1万㌧、脱粉1万㌧)、2015年度は計15万5800㌧(バター1万㌧、脱粉5千㌧)を追加輸入していて、国内生産で需要を満たせない状況が続いている。


2014年末に家庭用バター不足が社会問題化したため、国は乳製品国家貿易の運用を改善。追加輸入の判断を毎年5月と9月の2度行うと時期を明確化していた。


家庭用バターの供給は前年と同水準を計画-乳業協会が報告


今年度2回目の追加輸入を行うと発表した農水省の記者会見では、日本乳業協会の本郷秀毅常務が同席し、主要乳業メーカー4社(雪印メグミルク、よつ葉乳業、明治、森永乳業)による今年末(10~12月)の家庭用バター、業務用ポンドバターの供給計画量を説明した。それによると、今年末は計1万1047㌧の供給を計画した。対前年比で同水準、2年前の2014年度比で10%増の計画となっている。


本郷常務は「洋菓子店が家庭用バターを買いに走ることもなくなる。今年度のバター供給は全く心配ない」と述べた。

「Jミルクの生乳生産需給見通し、2016年度は前年比0.5%減」―バター等の乳製品在庫は輸入により増加

2016-10-10

Jミルクは9月27日、2016年度通期の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しを公表した。2016年度の全国の生乳生産量は735万1千㌧、0.5%減(閏年修正後、以下同)と見込んだ。


北海道の生乳生産は、年度累計では前年度を上回るが、下期に入り前年割れに転じる見通し。乳製品需給では、バター・脱脂粉乳とも国による輸入・売渡しにより年度末の在庫量が前年を上回る。Jミルクは「充分な在庫量が確保されている。今年度の乳製品需給は安定する」と説明した。需給見通しは同日、今年度2回目の乳製品追加輸入を行うと発表した農水省の記者会見でJミルクが同席し、報道関係者に説明した。


生乳生産見通しを地域別にみると、北海道は391万9千㌧で0.8%増と前年度を上回るが、乳牛頭数の増加幅が昨年に比べて縮小することに加え、夏季の暑熱ストレス、悪天候の影響で第3、第4四半期は減少に転じる見通し。都府県は343万1千㌧、1.9%減で前年度を下回る。


Jミルクは「北海道・東北の台風被害の影響、都府県の暑熱の影響が徐々に顕在化する懸念もある」と今後の生乳生産動向を注視している。


需要面をみると、牛乳は前年夏季の天候不順に対する反動増も含め比較的堅調に推移し、301万5千㌔㍑、0.3%増の見込み。加工乳は9万5千㌔㍑で7.6%減、成分調整牛乳は33万7千㌔㍑で3.3%減、乳飲料は126万㌔㍑で2.3%減。牛乳類全体では470万6千㌔㍑、0.8%減と前年度をやや下回る見通し。


はっ酵乳は、需要の大きな伸びは一巡するものの、110万5千㌔㍑で2.5%増と引き続き堅調な需要を見込んだ。


用途別処理量のうち、牛乳等向けは394万7千㌧、0.1%増とほぼ前年度並みの見通し。その結果、乳製品向けは335万2千㌧、1.1%減と前年度を下回る。


乳製品需給では、バターの生産量は年度計で6万5200㌧、1.7%減少する。バターの第3四半期(10~12月)の期末在庫量は2万2800㌧(21.0%増、3.7カ月分)、年度末で2万4600㌧(11.4%増、3.9カ月分)と増加する見込み(国が同日発表したバター4千㌧の輸入・売渡し分は含まない)。


また、脱脂粉乳の生産量は12万5700㌧で3.4%減少するが、年度末の在庫量は5万2200㌧(1.3%増、4.6カ月分)と増加する見込み。


乳製品需給をめぐりJミルクは「特定乳製品の生産量は前年度をやや下回る見込みだが、乳製品が順次輸入・売渡されており、年度末に向けて充分な在庫量が確保されている。今年度の需給は安定する」と説明し、消費者やユーザーに対して丁寧な情報発信に努める姿勢を示した。

「和牛(F1)交配率、4~6月期は32.8%」――前期比2.1ポイント低下も依然として高水準が続く

2016-10-10

日本家畜人工授精師協会が9月26日に公表した2016年4~6月期の乳用牛への黒毛和種の交配状況(F1交配率)によると、北海道、都府県ともに前期を下回り、全国平均32.8%で2.1ポイント低下した。前年同期比で1.7ポイント低下したが、依然としてF1交配率は高水準にある。


F1交配率を地域別にみると、北海道は21.0%で前期比0.6ポイント低下したが、6期連続20%超えの高水準が続く。前年同期比では0.4ポイント低下した。


都府県は46.9%で前期比3.8ポイント低下し、1年ぶりに50%を割った。前年同期比では2.4ポイント低下した。


F1交配率が生乳生産に影響を与え始めるのは、妊娠・育成期間を経た3年後とされる。


性判別精液、前期比1.4ポイント上昇の9.7%利用


日本家畜人工授精師協会によると、4~6月期の性判別精液の利用割合は9.7%で前期比1.4ポイント上昇した。前年同期比では2.5ポイント上昇していて、性判別技術の着実な普及がうかがえる。

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