全酪新報/2026年9月1日号
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「畜産クラスター事業など当初予算化、新水田政策は事項要求として予算編成過程で検討」――2027年度農林水産関係予算概算要求
農水省は8月31日、27年度の農林水産予算総額3兆1377億円とする概算要求示した。酪農関連では酪農経営安定対策に今年度同額の448億100万円を計上したほか、畜産クラスター事業など補正予算で措置してきた事業分を今回、当初予算に組み込む。新たな水田政策や農業構造転換集中対策に関する予算は事項要求として予算編成過程で検討する。-詳細は全酪新報にてご覧ください-

27日の会合には議員をはじめ、要請した9団体など多くの関係者も出席した
お断り=本記事は9月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「令和8年熊本地震の支援対策を公表、牛舎の補改修や発電機など営農再開・継続を後押し」――農水省
農水省は8月27日、熊本地震で被災した農林漁業者へ支援対策を公表。全体で16年の震災時の対策以上の内容を取りまとめた。酪農関連では、牛舎や付帯施設、機械の簡単な補改修や、簡易畜舎の整備等(2分の1以内)を支援。そのほか、停電時の発電機や、断水時の水の確保に要した揚水ポンプの借り上げ(2分の1以内)などのメニューを通じ、総合的に地域の営農再開・継続を後押しする。
乳房炎対策として治療や予防用資材、搾乳機器の点検など(2分の1等)も支援。被災による家畜の避難・預託(2分の1以内)、死亡・廃用したことによる乳牛の導入(2分の1以内、妊娠牛1頭当たり27万5千円上限)などのメニューも措置した。
被災農家のための酪農ヘルパー利用について、傷病時互助制度の対象とする。補助率は利用料金のうち互助基金負担分の3分の2以内。
乳業工場を含む共同利用施設の再建・修繕も支援(2分の1以内)。県や市町村の助成の上乗せがあれば、さらに負担は軽減される。
「農林水産基盤の早期復旧へ熊本地震支援の提言とりまとめ」――自民党対策本部
自民党令和8年熊本地震対策本部は8月25日、党内で会合を開き、震災復興に向けた提言案を提示。修文の上で提言をまとめ、26日には高市早苗首相に申し入れた。提言には、農林水産基盤の早期復旧をはじめ、乳業工場等の共同利用施設の復旧支援や必要な要件緩和、早期営農再開に向けた農業用機械・施設の再取得等に必要な支援を講じていくこと等を盛り込んだ。また提言を受け、政府は震災支援のパッケージを8月27日に取りまとめた。
会合の冒頭、有村浩子本部長代理は「猛暑、酷暑が続くなか、避難生活の長期化に伴う健康管理の問題をはじめ、生活の再建、インフラや農林水産業など、(課題は多く)一刻の猶予も許されない。本日取りまとめる提言は速やかに政府へ強く申し入れていきたい」との姿勢を強調。それを受け、赤間二郎防災担当相は「まだ至らない、足りない部分はしっかりと政府与党一丸となって取り組んでいきたい」と述べた。
提言の柱は「被災者支援」、「インフラなど被災地の復旧復興支援」、「財政・人的支援の強化」の3つ。
会合では、被災地が必要とするきめ細やかな事業要望に応えられるよう、2016年熊本地震と同規模の特別な財政支援や地震復興基金の実施検討。被災地行政の事務負担軽減に向けた窓口一本化等を求める意見が出た。
「熊本県知事らが農相訪問、復旧復興へ支援要請」
熊本地震による被害に対し、熊本県の木村敬知事や内野幸喜県議会議長、地元選出の国会議員ら関係者は8月18日、鈴木憲和農相へ復興に向けた支援を要請した。酪農関連では、被災した畜産・酪農家の経営再建に向けた支援のほか、県酪農を支える乳業工場の復旧等への十分な予算確保を求めている。
木村知事は、今回被災した農家の中には昨年8月の豪雨で被災した農家もいることから「息の長い支援をお願いしたい」と要望。それを受けて鈴木農相は8月6日に現地を視察したことを述べ「生産者のお気持ちを考えると、言葉が出なかった。やはり共同利用施設をはじめ様々なものをもう一度整備し直さければいけない状況。過去(熊本は)大変な被害を受けた上でもう一度ということなので、それもよく踏まえ支援パッケージを対応させていただきたい」と述べた。
要望書では、被災農林漁業者の営農再開に向けた支援を明記。酪農関連では、畜産業の経営再建へ、破損した施設・機械の復旧、死亡家畜等の処分費への助成等に係る財政措置を講じるよう求めている。
また、共同利用施設等の早期復旧・復興への支援についても整理。共同利用施設等の復旧に向け、過去の震災と同様に「被災施設整備等対策」の発動を求めるとともに、補助金上限額の撤廃と再編集約・合理化を図る共同利用施設に対しての補助金の嵩上げを求めている。酪農関連について要望では「熊本県の酪農業を支える乳業工場の復旧に対しては、十分な予算確保と併せて、要件の緩和をお願いしたい」としている。
このほか、家保等防疫・衛生施設の復旧に係る緊急支援など幅広い対策を求めている。

鈴木農相を訪ねた県知事ら一行
「25年度牛乳・乳製品自給率前年度比2㌽上昇65%、生乳生産増、チーズ輸入減少等が影響」
農水省が8月7日に公表した2025年度食料自給率のうち、牛乳・乳製品の食料自給率(重量ベース、飼料自給率未反映)は、前年度より2ポイント上昇の65%。生乳生産量の増加に加え、チーズの輸入量減少などが影響した。牛乳・乳製品の自給率は18~19年度に一時60%を割ったが、以後は61~63%で推移している。
25年度における全体の食料自給率は、カロリーベースは37%で前年度より1ポイント減少、生産額ベースは66%で2ポイント上昇。カロリーベースは特にコメの消費量減少と民間在庫量の増加、生産額ベースは特にコメや畜産物の価格上昇が影響した。
牛乳・乳製品の自給率について、食料自給率を算出する上での基礎となる食料需給表(概算値)をみると、25年度の国内生産量は739万5千㌧(24年度確定値比2万2千㌧増)、輸入量は416万7千㌧(同25万1千㌧減)。これらを足した上で、輸出量と在庫の増減量を差し引いた国内消費仕向量は1129万1千㌧。生乳生産量は増えているものの、国内消費仕向量は減少している。
牛乳・乳製品の国民1人当たりの年間供給純食料数量は88.2㌔(24年度比2.5㌔減)。1日当たりでの数量は241.6㌘(6.8㌘減)、熱量は152.2㌔㌍(4.3㌔㌍減)と需要は落ち込んでいる。
飼料自給率2㌽低下
食料自給率とあわせて公表した飼料需給表によると、25年度の粗飼料自給率は前年度より1ポイント低下の79%減、濃厚飼料自給率も同じく1ポイント低下の11%で、飼料全体の自給率は2ポイント低下の「24%」と、直近年で最も低くなった。主食用米の需要増加に伴う飼料用米の生産量減少、昨年の記録的な猛暑を受け、特に北海道における2番草の生産量が減少したこと等がそれぞれ影響した。
25年度の飼料需要量は、TDN(可消化養分総量)換算で24年度比18万2千㌧減の2345万1千㌧。内訳についてみると、粗飼料供給量は464万4千㌧(うち国内供給量は367万7千㌧)、濃厚飼料は1880万8千㌧(うち純国内産原料は206万3千㌧)。
昭和末期までは高かった粗飼料自給率は、その後徐々に低下し、現在まで76~80%の水準で推移。一方で濃厚飼料の自給率については、昭和後期の農産物輸入自由化等を背景に、1965年に31%あったものの、1975年には14%まで低下、その後も11~14%と非常に低い自給率が続いている。

「目標・KPI検証めぐり議論、クロコン強化で取組拡充」――食料・農業・農村政策審議会企画部会
食料・農業・農村政策審議会企画部会は8月21日に省内で会合を開き、食料・農業・農村基本計画で定めた目標・KPI(成果指標)の検証をめぐり議論。農水省より食料自給率や各品目等における目標・KPIの達成状況等について報告を受けた(委員からの意見は次号)。酪農関連では需給ギャップ解消に向け、生乳需給クロスコンプライアンスの措置の強化による取り組み拡充や、牛乳や脱脂粉乳の消費拡大などを必要な対応方向として示した。
各品目のうち生乳の生産面におけるKPIの30年度目標は、生乳生産量732万㌧(うち輸出目標2.7万㌧)、飼養頭数117万頭。直近25年度は生産量が740万㌧(うち輸出量1.7万㌧)、飼養頭数は129万頭。飼養頭数は前年度と比べ7千頭減少したが、個体乳量の増加により生産量は2万㌧増加した。課題の対応方向として、需給ギャップ解消に向け、クロコン措置の強化による取り組みの一層の拡充を図ることなどを示した。
一方、消費面では輸入量を含む「国内消費仕向量」をKPIに設定するなか、目標1152万㌧に対し、25年度は1129万㌧主にチーズ等の輸入量減少により、36万㌧減だった。課題の対応方向として、需給が緩和している現状、飲用牛乳・脱粉の消費拡大や国産ソフトチーズなど高単価チーズ市場の拡大、需給安定に向けた全国的な支援のさらなる拡大を図っていくとしている。
なお、生乳におけるKPIの生産量、飼養頭数、国内消費仕向量の目標数値は、いずれも酪肉近で示した数値と同様となっている。
このほか、加工・流通面に関しては物流コストの上昇、人手不足、乳製品工場の老朽化、中小乳製品工場の撤退による不需要期の生乳処理可能量の低下、西日本の夏場における牛乳不足への対応の必要性等を課題として整理。
その上で対応方向として、物流効率化への取り組みの一層の推進、農業構造転換集中対策を通じた基幹工場整備の支援の一層強化を挙げた。特に夏場、西日本へ牛乳を安定供給する体制の確立に資する既存の牛乳工場再編と、広域調整を強化するための施設整備を支援する必要があるとした。









