乳滴/2025年7月1日号
系統外に流れるコメ

値上がりと店頭在庫減少で、買いたくても気軽に買えなくなる事態が、主食でさえ起こりうるという教訓を、令和のコメ騒動はもたらした。
農協が出し惜しみか?との邪推をネット上で散見したが、専門紙によれば令和6年産の全国の生産量に占める農協系統のコメ集荷量は26%程度とのこと。
筆者の地元では、自主流通業者の買取価格は農協系統よりも高い。なので農協には出さず、全量自主流通業者に売る農家は実は結構いる。これが去年の秋は特に顕著だった。長年コメ屋さんに直接売っている知人から「農協より高く買うけどどうする?」と誘われた。とにかく沢山集めている、とも。ちなみに地元では自主流通のことを今も「ヤミ」という。戦後かよ、とのツッコミが聞こえてきそうだが。
需給で価格が変動するのは資本主義の原理、常識と思っていた。だからコメ離れが進む日本では米価が下がり、農家が減るのだと思っていた。
需給が締まり、小売価格が上がった途端、皆さんには急に農政に関心を持って頂き議論喧しいが、問題は資源を輸入に頼らざるを得ない状況、長引くインフレ等、日本経済全体の構造的なもの、という気がしてならない。
私たちの牛乳も、買いたくても買えない時代が来ないように願う。