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全酪新報/2025年11月1日号
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「乳牛の祭典、第16回全日本ホルスタイン共進会が盛大に開催される、最高位賞は北海道遠軽町の木村吉里(よしのり)さん」
5年に一度の乳牛の祭典、第16回全日本ホルスタイン共進会(日本ホルスタイン登録協会主催)が10月25~26日、北海道勇払郡安平町で盛大に開催され、全国から酪農関係者が集結。約400頭の乳牛が出品され、頂点となる最高位賞に北海道紋別郡遠軽町の木村吉里さん出品の「サニーウエイ アストロ マツカチエン」(第16部・ホル種経産6歳以上)が輝いた。宮崎で20年に予定していた第15回大会は新型コロナの影響で中止を余儀なくされたため、今大会開催は10年ぶり。
共進会では、ホルスタイン種の未経産6部、経産10部の計16部に、ジャージー種の未経産2部、経産2部を加えた全20部に区分して比較審査が行われた。審査委員長は家畜改良センターの入江正和理事長、審査委員は日本ホルスタイン登録協会の稲山智明氏、同会の國行将敏氏が務めた。
各部の激戦を勝ち抜き、ホルスタイン種で名誉賞と準名誉賞3組、ジャージー種で1組の計8頭の乳牛が選抜され、うち名誉賞4頭による最高位賞決定審査を実施した。最高位賞の牛について、稲山審査委員は「後乳房が高く幅もあるなど優れた乳房をしている。骨格構造も肩の付きや肋の開張などが素晴らしく、前肢と後肢の歩行も非常にスムーズだった」と評した。
全共では比較審査のほか、付帯行事として高校生等によるジャジング&リードマンスクールやリードマンコンテスト、酪農資材器具展、乳牛のセリ等を開催。これまで5回以上出品した多回出品者24名も表彰した。
今回の全共では、新たな取り組みとして、高校生の日本一を決めるグランプリも実施。各部において高校が出品した乳牛のうち、1等賞以上に入賞した計7頭を審査し、未経産の部グランドチャンピオンに群馬県立吾妻中央高校の「アガチユー シヤングリラ M ハズイツト ルツク フタゴ」、経産の部グランドチャンピオンに京都府立農芸高校の「グロリーオーサ クリーメル クラツシヤブル フイラ」が栄冠に輝いた。
新型コロナ禍から続く生産コスト高騰等の影響、急速に進む酪農家の離農、国内でのランピースキン病発生など、依然として酪農経営を取り巻く環境は厳しい一方、10年ぶり開催となった今大会には、過去最多となる出品牛が全国から集った。全共対策室は「勝ち負けも大事だが、全共という土俵に立つことで全国から集まった酪農家同士の交流、改良に力を入れている酪農家と牛談義が出来ることも全共の魅力。これからの酪農情勢は不透明だが、全共が明るい未来に向けて一歩踏み出せるような起爆剤になれば」としている。
牛と仲間に感謝
木村さんにとって、今回の全共は初出場。出品の際に気を付けていたこととして、「出品牛を万全な状態で見せられるように心掛けてきたものの、実は9月2日に分娩し、その後体調を崩していた。全共までに万全にしようと飼ってきたが、牛もそれに応えてくれた」と喜びを語った。
その上で「今回の受賞は牛と、日頃からアドバイスや手伝ってくれた地元の仲間のおかげ。いただいた賞に恥じない牛をこれからも出品したい」と力を込めた。

お目当ての牛や活躍する仲間を見ようと2日間にわたり立ち見する来場者で溢れかえった

込み上げる喜びとともに牛を見つめる木村さん

安平町早来新栄に常設されている共進会場
「次世代を担う後継者の夢を育むきっかけに」日本ホルスタイン登録協会・前田勉会長――第16回全日本ホルスタイン共進会開会式
全共開会式で主催者の日本ホルスタイン登録協会の前田勉会長は、厳しい現下の酪農情勢に触れた上で、同会としても酪農家の経営の根幹である乳牛改良の推進に注力していく姿勢を強調。「今大会の開催を契機に、酪農関係者の結束がさらに高まり、未来を開いていく新たな力となり、次世代を担う後継者の夢を育むきっかけになることを祈念したい」とあいさつした。
多くの来賓が出席した中、加納孝之北海道副知事、及川秀一郎安平町長、関村静雄農水省大臣官房審議官がそれぞれあいさつ。このうち、鈴木憲和農相の代読として祝辞を述べた関村審議官は「全国各地の優れた乳牛が一堂に会するこの全共は極めて有意義であり、次代の酪農を担う若い世代の育成にも確実につながるものと考えている。全共が全国の酪農家の皆さんが研鑽し、酪農の未来を切り拓く契機になることを心より期待している」と話した。
全共にはこのほか、天羽隆農畜産業振興機構理事長、井出道雄中央畜産会副会長、隈部洋全酪連会長、折原敬一全農経営管理委員会会長、農水省からは須永新平牛乳乳製品課長、冨澤宗高畜産振興課長など、多くの関係者が来賓として出席した。
また、山口哲朗日ホル協副会長(北海道ホルスタイン農協代表理事組合長)が、最高位賞決定審査前に閉会あいさつ。盛況のうちに閉幕を迎えることができたことに深謝するとともに、「今大会では乳牛改良に一段と飛躍が見られた。皆さんが受けた表彰はまさに日頃の研鑽と努力の賜物。深く敬意を表したい」として、出品者の今後一層の酪農振興と発展への尽力を祈念。その上で「この大会をきっかけに、全共が未来永劫続いていくことを期待したい」と述べた。
「新農相に鈴木憲和氏(山形)が就任」――高市内閣
10月21日に発足した高市内閣では農相に元農水省職員の鈴木憲和氏(衆議・山形2区、43歳)が就任した。翌22日の就任会見で鈴木農相は「『農は国の基(もとい)なり』。この言葉を胸に刻みながら、農水省職員とともに、なるべく多く現場に伺い、現場第一、現場の感覚を持って農林水産行政にあたっていきたい」と述べ、現場の視点に立った農林水産行政の実現に全力を尽くしていく姿勢を強調した。(右:就任会見に挑む鈴木農相)
また、自らの原点となった、農水省職員時代の研修先での農家(福島県)とのエピソードを紹介。「『日本の農政はコロコロ変わる猫の目農政。農水省と逆のことをやると蔵が建つと、この辺では言うんだよ』。農家さんのこの言葉が、政治を志す原点となった」と振り返り「いつか、生産現場から見て、先の見える農政を実現したい」と述べた。
このほか、食料安全保障については「最も重要なのは、日本で作られたものを国内で暮らす方々がしっかりとまず消費できる。この環境が第一。一方で稼ぐという観点も大切だ。生産者団体等とも一緒になって、海外マーケットを作っていくことも大事。両方にしっかり取り組みたい」と話した。
また、2027年度以降の水田政策の見直しをめぐっては「新たな基本計画で水田活用の直接支払交付金を抜本的に見直し、作物ごとの生産性向上への支援へと転換することとされている。農業経営の安定を図るセーフティネットの在り方はその一環として、与野党を始め関係者のご意見をいただきながら検討を深めていく」と説明。
その上で「ただしセーフティネットの前に、農家がしっかりとした価格で報われ、翌年再生産・再投資できる環境をいかに整えていくかが肝心だ」と指摘した。また、「生産性という面では、条件のいい平場と、中山間地域では条件がまったく異なる。この格差をしっかりと埋めていく」とも述べた。
鈴木農相はこれまで農林水産副大臣、復興副大臣等を歴任。自民党では、農林部会長代理を務めた経験もあるなど、若き農政通だ。











