全酪新報/2025年9月1日号
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「国産飼料の増産を支援、酪農経営安定対策は今年度と同額を計上」――2026年度予算概算要求
農水省は8月29日、総額2兆6588億円(対前年度比3882億円、17.1%増)とする26年度概算要求案を公表。酪農関連では、家畜改良の推進、計画的な国産飼料の増産、飼料の安定供給に向けて必要な予算を盛り込んだほか、加工原料乳生産者補給金等を交付する酪農経営安定対策に今年度同額の444億1100万円を計上した。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
お断り=本記事は9月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「農業構造転換推進委員会を新設、委員長には江藤拓前農相が就任」――自民党
自民党は8月27日の会合で、食料安全保障強化本部と総合農林政策調査会のもと、「農業構造転換推進委員会」を新設することを明らかにした。委員長には江藤拓前農相が就任する。(右:江藤委員長)
委員会では、新たな水田政策の対応方針や官民による備蓄対策の在り方、合理的な価格形成を含む流通の円滑化、需要に応じた増産に向けた生産性向上の促進策などを検討・議論する。深堀りした議論を行うため、委員会のもとに分科会を置き、そこで論点整理した上で委員会で議論をまとめる方針。
会合で江藤氏は「広く意見を聞いて集約し、それを関係団体の方々や農水省とどれだけ連携をとって実現していくかが私の役目だ」と述べ、今後の議論に向けて協力を呼びかけた。
「農水省が米国の関税措置めぐり説明会、米国向けアイスは関税超過分返還、日本向け乳製品の関税は変更無し」――日米関税交渉
農水省は8月22日、省内で「米国の関税措置に関する日米合意に係る全国説明会」を開催。農水省輸出・国際局によると、米国向けの農産物などに対する相互関税に関して「8月7日以降徴収された相互関税のうち、7月22日の合意を上回る過払い分は、8月7日に遡って払い戻すと説明があった」と報告。米国向けの牛乳・乳製品では、大宗を占めるアイスクリーム類が主な返還の対象。アイスクリーム類は関税率が15%を超えているため、従来の関税率17~20%が適用される。払い戻しの時期や手続きの詳細等はいまだ明らかになってない。なお、米国から輸入される牛乳・乳製品の関税率には変更はない。(右:小泉農相)
説明会の冒頭、小泉進次郎農相は「相互関税に関する合意内容について日米間で認識の齟齬はない。既存の関税率が15%以上の品目には課税されず、15%未満の品目は既存の関税率を含め、15%とする原則について、赤澤大臣が米国閣僚との間で改めて確認している」と強調。
その上で「しかしながら、米国側の内部手続きの過程で、合意と異なる内容の大統領令が発出され、そのまま適用が開始された。極めて遺憾なことであり、今後米国が大統領令を修正し、8月7日以降に徴収された関税のうち、合意を上回る部分については、遡って返還する方針であることも確認されている」と説明した。
米国向け輸出品に関しては、7月22日の合意を受けて、既存の関税率が15%未満の品目は一律15%、15%以上の品目は、従来同様の関税率が適用されることを確認。本来8月7日以降、合意に基づいた内容が適用されるはずだったが、米国側の不備により、現在、既存の関税率に一律で15%が上乗せされている。
「牛乳・乳製品の需要拡大を業界一体で、関係者と消費者をつなぐ伝わりやすい情報発信に努める」――Jミルク・渡辺裕一郎専務
Jミルクの専務にこのほど就任した渡辺裕一郎氏に、今後の事業方針、需要拡大に向けた考え方などを聞いた。渡辺専務は、Jミルクが今年度から開始している「酪農乳業需給変動対策特別事業」の適切な運用、あわせて、牛乳・乳製品の需要拡大を業界一丸で推進していく重要性を強調。Jミルクとして関係者と消費者をつなぎ、分かりやすく伝わりやすい情報発信を行う考えを示した。(右:渡辺専務)
就任にあたっての抱負を
酪農乳業として重要な共通課題に対して大同団結し、一気通貫での取り組みが必要な場面も多く、当面は主に2点に注力したい。
まずは4月に開始した「酪農乳業需給変動対策特別事業」の効果的な運用だ。大幅な需給変動への備えとして生・処の拠出により基金を造成し対応していくものだが、いわゆる「系統外」も含め基金への参加をいただいている。時機を逃さず、適切に実施していきたい。
あわせて、農水省と共同で展開している「牛乳でスマイルプロジェクト」を通じた、業界を挙げて取り組んでいる需要拡大運動について、Jミルクが中心となって推進していきたい。
もちろん持続可能性および中長期的な課題などに関しても、分かりやすく情報発信していきたい。
業界を挙げた需要拡大に向けて、今後どのように深めるか
8月8日にJミルクを含めた生・処・販の関係8団体の連名で、「牛乳でスマイルプロジェクト」の旗の下、業界一体となった需要拡大への参加・協力・PRについて各会員等に依頼したところ。
11月から来年3月にかけての飲用不需要期を活動の集中期間として、全国の関係者が一つの方向を向いて取り組んでいただけるようお願いした。
需要拡大に向けたJミルク独自のポータルサイトの設置も構想中だ。全国の関係者の取り組みを、テーマ、ターゲット別に分類・整理し、コラボ・連携の促進や、イベントカレンダーの表示など、業界関係者だけでなく消費者も分かりやすく情報発信できるよう、整備する。
産業としての酪農乳業の持続のためには、底堅い需要の確保は不可欠。これまで、関係団体や酪農家など、各々が取り組んでこられたが、このほどの乳価値上げによる消費への影響も踏まえ、本年度後半に関しては不需要期対応など同じ方向を向いて相乗効果を産み出せるよう、業界一丸となって対応していきたい。また、需要拡大のための活動指標の設定や来年度以降の方針等に関しても、並行して関係者と議論を重ねていく。
酪農家や関係者に向けてメッセージを
言うまでもなく、酪農乳業界の主役は日々生乳を搾っている酪農家や、安全安心な牛乳・乳製品を生産している乳業者、及びそれらを支えてくれている多様な関係者の皆様だ。Jミルクとしては、酪農家が安心して生乳を搾り、生業を続けられるよう、環境を整備し、現場をしっかりバックアップする体制を作っていく。
Jミルクは生処販一体となった組織。業界の縁の下の力持ちとして、関係者や業界外部、消費者の架け橋となり、プラットフォームを提供するなど、良好な意思疎通や関係構築により、業界の発展に向けて活動が円滑かつ安定的に続いていくよう、この先も取り組みを重ねていきたい。
プロフィール
熊本県出身。九州大学農学部畜産学科卒。1987年4月農水省入省。生産局畜産部牛乳乳製品課乳製品調整官、大臣官房参事官、農畜産業振興機構理事などを経て、2021年10月近畿農政局次長、23年7月九州農政局次長。25年3月に農水省を退職し、同年6月より現職。
「「2024年度チーズ総消費量が減少から一転3.5%増加へ、国産ナチュラルチーズ特に好調」――24年度チーズ需給表・農水省
農水省が7月18日に公表した24年度のチーズ需給表(速報値)によると、チーズ総消費量は32万6415㌧で、23年度より1万957㌧増の3.5%増。新型コロナ禍において、チーズは内食志向により家庭内消費は堅調に推移していた一方、消費量の大きい外食産業の減退等を背景に23年度まで4年連続で減少していたが、24年度は一転して伸長した。特に国産ナチュラルチーズが好調に推移している。
チーズ総消費量のうち、輸入ナチュラルチーズの総量は25万3047㌧で4.0%増。このうちプロセスチーズ原料用は7万1934㌧で1.6%増(関税割当分4万7345㌧、4.7%減)、プロセス原料用以外は18万1113㌧で4.9%増。
他方で、国産ナチュラルチーズの生産量は4万5372㌧で0.5%増。うちプロセス原料用は2万2762㌧で2.6%減、プロセス原料用以外は2万2609㌧で3.9%増。23年度は一時的に前年度を下回る動きとなったものの、コロナ禍に落ち込んだ輸入ナチュラルチーズと比べると、国産ナチュラルチーズは20年度5.2%増、21年度7.0%増、22年度1.8%増など、着実に需要が伸びてきている。
国産と輸入を合わせたナチュラルチーズ全体の消費量をみると、20万3723㌧で4.8%増。17~19年度は大きく伸長し、20~23年度は減少。24年度については再び増加に転じた。
プロセスチーズの消費量については、全体では12万2692㌧で1.4%増。このうち国内生産量は11万5220㌧で1.3%増、輸入数量は7472㌧で2.8%増。直近では20年度の14万3056㌧をピークに、需要は縮小傾向で推移している。
チーズ総消費量中の国産割合は、プロセス原料用で24.0%(0.8%減)、ナチュラルチーズベースで14.8%(0.5%減)。
チーズブームを背景に、チーズの総消費量は15年度は31万4384㌧、17年度は33万3580㌧と年々拡大、直近で最も消費量が多かった19年度には35万5996㌧と需要は大きく伸長。その後、コロナ禍は減少傾向で推移し、23年度で31万5461㌧と底を打った。24年度もピーク時と比べると落ち込んでいるものの、大手乳業によるチーズ増産に向けた設備投資の動きなどもあり、国産ナチュラルチーズを中心に需要回復、需要増が期待される。










