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新語に強くなろう 乳牛は「VFA動物」 人が利用できないセルロース牛は畜産物として還元

2007-11-01

南半球の豪州では、例を見ない旱魃に見舞われ農作物が大打撃を受けている。食糧原材料を豪州からの輸入に依存するわが国では、インスタントラーメンや食用油が軒を並べて値上がりし、更に石油は高値を更新し続けている。


酪農界もこれらに連動して生産費が上昇するばかりか、収入源の牛乳消費は低迷したまま。食料品に準じた「乳価値上げ」は望みなし。これまでも繰り返してきた生産費などのコストダウンへの対応は、配合飼料価格の値上がりで意欲を削がれたようだ。


しかし、低迷期だからこそ酪農家しかできない「乳牛の生理=ルーメン発酵の原点」を、秋の夜長を利用して理論的にも再点検を願うものである。


敗戦後の食糧難を乗り切る手段として、1948年に東北大学では、人や豚の単胃動物が手出しできない粗飼料から貴重なタンパク質である乳や肉を生産する複胃動物=ルーメン発酵を探求する研究室を立ち上げた。現在でもルーメン発酵学=ルミノロジーのバイブル的存在の「乳牛の化学=ルミノロジー・消化と栄養の生理」誌が東北大学で編集され、農文協から1966年に出版された。


その後も、「研究テーマは農家の庭先から探せ」をモットーに研究を続け、その成果を逐次編集して出版。昨年は4冊目の「ルミノロジーの基礎と応用」(小原嘉昭編)が出版された。これらを教科書として皆さんに紹介しているわけである。


ルーメン内には細菌とプロトゾアが生息し、これらの微生物は自身の生命維持と子孫を残す分裂増殖のために必須の体タンパク質(微生物タンパク質)を合成する。この微生物タンパク質を合成するために、給与された飼料中のタンパク質をまず自らの酵素で分解してアンモニアを生成する。


タンパク質はアミノ酸の重合体で有機窒素化合物である。この窒素は評判が良くない無機窒素化合物であるアンモニアへ分解される。尿や堆肥の発酵分解過程で畜産特有の悪臭問題を生ずるように、簡単にタンパク質からアンモニアが生成される。


しかし、堆肥発酵で体験済みだと思うが、良質堆肥生産にはコツがあるように、ルーメン内で飼料タンパク質から発生したアンモニアから、再び微生物や乳牛にも必須のタンパク質に再合成するメカニズム=飼料タンパク質分解→消化→吸収→異化(微生物タンパク質へ再合成)へのプロセスには、炭水化物が発酵分解して発生させるエネルギーが必須条件である。


ルーメン微生物が自らの酵素を効率よく生成して発生させるエネルギーは、でん粉や糖類などNFC(非繊維性炭水化物=Non-Fiberous Carbohydrate)に分類される炭水化物から供給され、脂肪(炭水化物の2・25倍のエネルギーを持つ)や、粗繊維、すなわち乾草やサイレージから生成される有機酸はタンパク質分解から再合成へのエネルギー源としては利用することは出来ない。


しばしば述べてきたように、この過程で生成された微生物タンパク質のアミノ酸組成は、牛乳や牛肉のタンパク質に近似している。つまり、給与される飼料の植物タンパク質と異質の動物タンパク質の体内生成であり、動物である乳牛にとっては理想的なタンパク質資源である。


また、炭水化物である糖とデンプンを直接自らの消化酵素で「ブドウ糖」に分解・消化し、利用する単胃動物は「糖動物」とも呼ばれる。


一方、乳牛=複胃動物は別称「VFA動物」と称されるように、ルーメン内で「VFA=有機酸」を生成し、乳牛体の維持と乳・肉の生産エネルギーとして利用するのに先行させる。そして、ルーメン内でタンパク質からアンモニアを産出させるエネルギーは、糖類、デンプンから供給されている。


このように複雑なルーメン発酵は、単胃では利用できないセルロース=構造性炭水化物を消化し、動物質タンパク質などの畜産物を人類へ還元している。


舎飼いの乳牛は、ルーメン発酵を効率よく24時間営業させているわけだが、野生当時の採食パターンから現在の家畜化された人為的給餌パターンとの差や更に人為的に夜間照明を強化して給餌する傾向も見られる。


機械的、かつ几帳面に給餌する一方、自由採食で牛を自然に任せる方式も登場したが、いずれも世の中を反映した飼養管理であって、果たして牛にとっては快適であるか考えさせられることも多い。


これらを整理して我が家に適した飼養管理を常に検討しなければ、コストダウンとは全く逆の結果を招くことにもなりかねない。


炭水化物の分類


前回タンパク質をルーメン内で急速溶解、分解、非分解(バイパス性)、結合(牛体内で全く分解されず、糞とともに排泄される)の4種に分類すると述べた。


そして、炭水化物も旧来の可溶性無窒素物と粗繊維の2種類で時代を反映してきた、現在は次のように分類している。


各種タンパク質分解と相性が良く、同調性を発揮させるための炭水化物へと分類されている。古くは牛の餌といえば草、粗飼料、セルロース、繊維が思い浮かぶが、現代は非繊維性炭水化物が主役になっている。


これらは消化に時間がかかる繊維とは関係が少ないNFCとNSCに大別される(NFCは文字通り繊維ではない炭素と水の有機化合物・NFC=Non-Fiberous Carbohydrateと非構造性炭水化物・NSC=Non-Structural Cabohydrates)である。


非繊維性(あるいは非構造性)炭水化物は、飼料中の総炭水化物(乾物から粗たん白質、粗脂肪、粗灰分を引いたもの)から、繊維性(あるいは構造性)炭水化物を差し引いたものであって、われわれに一番なじみの深い糖類やデンプンなどの可溶性の急速発酵性成分である。


次いで、炭水化物中のペクチン(植物細胞壁間に存在し細胞をセメントの役割で結合させている成分、特に果物やビートに多い)は主としてヘミセルロース(植物細胞壁のセルロースに結合する多糖類)の利用菌によって分解発酵されるにも関わらず、分解速度が速いという繊維・非繊維両方の性質を併せ持つ。


厳密な用語としては、高発酵性成分としてペクチンを含むものを非繊維性炭水化物(NFC)、ペクチンを含まないものを(非構造性炭水化物(NSC)として区別して表され、後者はNCWFE(Nitrogen Cell Wall Free Extractsはデンプン、糖、有機酸類を意味し、繊維を除いた炭水化物)として表される場合もある。

本連載は2003年5月1日~2010年4月1日までに終了したものを著者・中野光志氏(元鯉淵学園教授)の許可を得て掲載するものです。

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