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薬物乱用の戒め 自然治癒こそ生物の本態 ヨーネ菌の糞便汚染 日常の衛生管理に効あり

2005-05-01

人も細菌も生物であり、自己を形成するDNAを永続させるため生体を制御し健康を維持する「ホメオスタシス=恒常性」が働いている。


病原細菌感染、すなわち疫病を免れる仕組みとして「免疫」機能が働き恒常性を保持する。この免疫反応は生物発祥期から現在に至る永遠の生命の営みの中で育まれてきたもので、現代の人工科学薬は一時的な闖入者の存在に思える。


ペニシリンそのものはカビの産物で殆んど副作用もなく安全な自然産品であった。天然痘の地球上からの放逐は、牛痘に対する免疫力を人が借用して成功した。まさに自然の力である。


乳房炎をはじめとする各種疾病の治療薬の効果成績報告書を見ると「無効」とともに、これと同率の3割近くの「自然治癒が」存在し、有効は残りの3割前後に過ぎないのが現実である。


この自然治癒の本態こそ生物の恒常性・自己復元力であり、まさに免疫反応の成果であって、薬物乱用への戒めである。


バブルがはじける前の日本人は中流意識に酔いしれて飽食し、大量消費が経済発展への道と考え、病気の治療にも薬物の大量療法が主流となった。


患者も「薬」を食物感覚でパクパクと消費し、給付される薬物量で医者を選んでいた。誰もが周知しているペニシリンも次々と化学の化ける力で大量に工業生産され、あらゆる疾病に万能薬として大量消費されてきた


その結果、本来は腸内で善玉菌として有意義に働いていた大腸菌が「朱に交われば赤くなる」の例え通り、悪質な赤痢菌に感化されて病原性大腸菌0-157などに変身して多くの子供達の命を奪うに至った。


細菌学者が警告した「細菌の逆襲」が本格化しSARSや鳥インフルエンザなどが登場し、人類を恐怖に陥れ始めた。これら目に見えない怪物達の逆襲に対抗する手段が「マスク」と「手洗い」だという。米軍に対する日本人の竹やりの姿がダブってくる。


自然治癒の主役である免疫反応は細胞免疫と液性免疫に大別され、その他として皮膚や組織構成細胞、殺菌性酵素蛋白、腸内善玉菌などが日常的な免疫機能として疾病から免れる働きをしている。


乳や血液の液体に生成される液性免疫は、初乳中への母体からの移行抗体の主力であるγ(ガンマ)グロブリンが代表される。


かつて「はしか」が流行したとき特効薬はなく親の血液を子供のももへ皮下注射して回復させたものだ。


細胞免疫はリンパ球、マクロファージなどの細胞の食菌・殺菌による自己修復機能である。


戦前戦中の青年を悩ませた結核は肺病やみと言われ、与える薬もなく兵役は免れても廃人同然となり、貧乏人は死を迎え、金持ちは牛乳や卵を薬として栄養療法で自然治癒を待つしかなかった。


肺病のおかげで牛乳・卵が薬としての地位を確保したが、科学薬万能の現在は飽食の反動から栄養豊富な牛乳は肥ると忌避され牛乳消費は停滞し、相変わらず高価な化学薬品であるサプリメントが幅を利かせ始めている。


話題は変わるが、牛が関係する法定伝染病は15種類あるが、口蹄疫を筆頭に殆ど発生は皆無だが、ヨーネ病防疫パンフ作りを企画し、動物衛生研究所・家畜衛生保健所の研究報告をまとめていて、私は大きなショックを受けた。


それは、ヨーネ菌が感染牛の細胞免疫反応の主力であるマクロファージ(M細菌)を手玉にとって菌自身の防疫機構として利用し生存繁栄をなし、更に感染牛を増やしていることである。


M細胞は4~5年も搾りっぱなしの一腹搾り時代の乳房内に陣取り、乳房炎菌の侵入を防ぎ長期間搾乳を可能にする働きを確認して以来、私は乳房炎とかかわって来た。


この乳房炎防除の仲間と考えていたM細胞だが、雪印食中毒事件で発覚した黄色ブドウ球菌がこのM細胞に食菌、消化、殺菌されるどころか、逆に逃げ込んだ形になり、M細胞体内で増菌まで行って乳中に黄色ブドウ球菌が放出されることが明らかにされた。抗生物質がM細胞に阻止され、細胞内で増菌まで行っていたわけだ。ヨーネ菌もブドウ球菌のように増菌まではしないようだが、M細胞内で生存し、治療薬から避難してしまう。


ヨーネ菌は宿主である牛を急激に衰弱させることもなく、全く無症状で6年近く腸管に潜伏し、陰陽に間欠的に糞便に排菌される。そして、検査の網をくぐり抜けて同居牛への新たな感染を成し遂げる難病である。


一般病原細菌は腸壁に損傷を与え血便となるが、ヨーネ菌はM細胞が運び屋となり自由に腸壁を遊走するので、牛も菌も無傷で無症状期が持続する。


更にM細胞が腸絨毛の中を移動し先端に達し、絨毛の新陳代謝とともにM細胞が腸管腔へ脱落しヨーネ菌が糞便に混入される。


また、ヨーネ菌の細胞膜は厚い脂質で被覆され、土壌や汚水中で1年近く生存し、感染のチャンスを狙っている。


このような巧妙な細菌は薬物や免疫力だけでは克服できないが、ヨーネ菌は糞便汚染の防止というごく当たり前の日常的衛生管理が肝要だ。産前からのDippingによる乳頭衛生で乳房炎、ヨーネ、子牛の下痢に対して、一石三鳥の総合的効果を向上させるに尽きる。

本連載は2003年5月1日~2010年4月1日までに終了したものを著者・中野光志氏(元鯉淵学園教授)の許可を得て掲載するものです。

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