乳滴/2019年12月20日号
搾乳ロボットの進み方
搾乳ロボットの導入が規模拡大とセットであるかのような、わが国の現状に対して、本会の理事である柳澤宏氏(長野県酪農協会会長)が警鐘を鳴らしている。
11月21日開催の本会主催の酪農基本対策委員会で柳澤氏は「搾乳ロボットが普及している欧州、例えばオランダでは夫婦で50頭搾乳程度の家族経営の過重労働を解消するのが、そもそものねらい。日本ではいつの間にか規模拡大のための機械、手段になってしまった。このままでは過大な負債につながってしまう」と指摘した。
高齢化や人手不足が進行する中、労働負担の軽減は待ったなしの課題。2018年度牛乳生産費調査では、搾乳牛1頭当たり投下労働時間はこの10年間で6.2%減にとどまる。101時間のうち、直接労働時間は95時間。その内訳では搾乳及び牛乳処理・運搬が49時間と半分を占める。
この搾乳作業の省力化において搾乳ロボットには1日当たりの搾乳時間を3割強削減するといわれる。このほか、つなぎ牛舎における搾乳ユニット自動搬送装置もある。価格面の課題は大きいが、1農家当たり平均して2台程度導入され、2018年3月時点では全国で約680台のロボットが稼働。今年度中に1千台を突破すると予想されているが考慮すべき指摘である。