乳滴/2019年12月1日号
難題は体力のあるうちに
厚労省が全国の公立・公的病院の再編・統合を促すため、424病院について議論を行うとの報道が先頃あった。医療は地域住民を支えるライフラインの一つ。大きな影響が出なければいいがと心配になる。
本会は政策提言をした際に「酪農家が全国各地に存立することが、農地を守り、地域活性にもつながる」と訴えてきた。しかし、現実は少子高齢化が進む中で、過疎化の波は止まらず、その渦の影響を酪農家も受けている。
実際、行政等の広域化により暮しにくくなっている。故郷の旧町は平成の大合併で隣接の市町村と合併した。町役場は支所になり、住民課など最低限の規模に縮小された。職員は約4分の1になり、異動で旧町出身者が少数に、非正規職員が大半となった。町の将来を考える空気は薄い。
地銀の支店は行政単位で考えるとのことで、支店が出張所になり今度は撤退した。本来、広域化等は体力があるうちに進めるのが理想だ。しかし、財政的にも追い込まれて、いわゆる撤退戦のような様相に見えて仕方がない。
酪農組織の統廃合もこれまで時間をかけて進められてきたが、各論でストップしている地域もある。時間が解決してくれる場合もあるが、統廃合は、将来を左右する大きな問題だ。