乳滴/2019年11月1日号
時代に即した治水は
本紙でも9月の台風15号被害以降、豪雨等による酪農被害を伝えているが、近年は豪雨災害がとても多い。多くの人命が奪われ社会的、経済的にも大損害が生じている。
昨年は6月に西日本豪雨、9月には台風21号でタンカーが関空連絡橋に衝突。その後、台風24号では首都圏のJRが計画運休を断行した。今年は8月に鉄工所の油が農地に流れ出した九州北部豪雨、9月に長期間の停電をもたらした台風15号、広範囲に洪水を起こした10月の台風19号、わずか半日でひと月分が降った10月25日豪雨と続いた。
情報処理技術の進歩で雨雲や台風の進路予想は昔より信頼性は高いはずで、ケータイで地域ごとの緊急事態や避難勧告が通知される。これにより人間は回避のための準備が出来るし避難も可能だ。
ところが家屋や畜舎、家畜、農地は避難できない。人命最優先は当然としても、生活の場、働く場が被災すると、経済的にも精神的にも非常に厳しい。水害は酪農・農業ばかりでなく新幹線の基地や高齢者施設が浸水したのをみれば、社会全体の問題でもある。
ゲリラ豪雨、線状降水帯といった物騒な気象用語が日常的に報じられる今、政府には、時代に即した効果的な「治水」を考えてほしい。