乳滴/2019年10月10日号
家畜伝染病との戦い
2010(平成22)年4月、宮崎県で口蹄疫が見つかった。当時の本紙には、4月9日に繁殖経営の牛1頭の口腔内にびらん、その後同居牛に流涎等症状を確認した家保が動衛研に届け出て、20日に疑似患畜確認とある。畜産の盛んな地域であり、残念ながら、その後7月まで発生が続き最終的に約29万頭の牛・豚が犠牲になった。「隣接県含め国費で消毒」「県が非常事態宣言」「外出自粛、消毒徹底」などの見出しは、9年経った今読み返しても動悸がして不安な気持ちになる。
昨年9月に岐阜で豚コレラが見つかり、その後県域をまたぎ感染が広がっている。既に14万4千頭が殺処分となってしまった。防疫対策のためとして、この秋開催予定だった乳牛共進会を中止するとの連絡が、いくつかの主催団体から届いている。
国はワクチン接種に向けて動き出したが、野生イノシシからも感染が見つかっており、ひと口に防疫対策といっても野生獣の居場所が分からないので底知れぬ恐ろしさがある。
海外ではユーラシア大陸でアフリカ豚コレラが広がり中国、朝鮮半島まで迫っている。こちらは有効なワクチンがない。畜産物の不正持ち込み防止等、空海港の水際対策徹底に期待したい。