乳滴/2019年8月20日号
土俵際でうっちゃれ
米国と中国の超大国の貿易摩擦が互いに譲らず泥沼化。二国間にとどまらず世界の政治・経済に大きな影響を及ぼしている。米国が8月2日に制裁措置第4弾を9月1日から発動すると発表すれば、中国は同6日に大豆を含む米農産品の購入を一時停止すると発表。互いに譲らずエスカレートするばかり。株価、為替だけでなく、中国経済の減速が実体経済の波乱要因となって、わが国でも企業の決算を揺るがし始めた。
日本から見るとトランプ米大統領の自国経済優先主義、特に対外交渉における強引な主張と手法の結末は予測しがたい。これまで、わが国はWTOの多国間交渉の一方で、2002年のシンガポールをはじめ18の国や地域と経済連携協定(EPA)を締結してきた(TPP、日EU・EPA含む)。その間、農畜産物の市場開放が常に焦点の一つになってきたが、「除外又は再協議」で何とか踏ん張り、国境措置を引き下げた分は、その影響に対して助成し国内農業への打撃を低くしてきた。
TPP以降、この交渉のタガがはずれそうになっているのではと心配されている。日米の貿易協定(TAG)交渉では、TPPを離脱した米国がTPPと別枠で米国枠を要求している。何とか土俵際でうっちゃってほしい。