乳滴/2019年5月10日号
楽しさと“親の立場”
世界を相手に試合や演技をするアスリートやスポーツ選手が「試合を楽しみたい」とか「楽しかったです」などとインタビューに答える。必死に応援してきたファンやサポーターからすると「必ず試合に勝ちたい」「負けて残念です。この次は必ず勝ちます」などの言葉を期待しているのに、少し違和感を感じることがある。
真剣勝負において「楽しむ」という言葉をやや否定的にとらえがちだからか。しかし、自分自身が楽しめなければ、本当の力を発揮できないだろうし、精一杯やったならば満足感もあり、楽しくもなるだろう。
後継者問題を考えるに近年、酪農の将来を親がいたずらに不安がり、やる気のある子供にあえて経営を継がせないケースがあると聞くことがある。親の立場に立てば、自分の子供に苦労させたくないことは当然である。また、貿易交渉等の不透明な国際環境、酪農家戸数の減少等、明るい話題よりも、近年は先行き不安になるような話題が多くマスコミから発信されがちだ。
ところが、後継者としてイキイキ仕事している人達には「自分の創意工夫が成果として反映される仕事」「乳牛や動物が好き」などの声も聞く。もう少し乳価が高くなり経営面で不安が少なくなれば親の考え方にも影響を与えるか。