乳滴/2018年6月20日号
メガファームの脚光
「メガファームばかりが脚光を浴び30頭、50頭の家族経営をこれから後継することに不安が出ては困る」と酪農に詳しい、ある農水省OBが最近の傾向を懸念している。
本会には通信社との契約により、全国各地方紙の酪農関連記事が送付される。以前は、6次産業化等の取り組みが比較的多く話題に取りあげられていた。それが近年は搾乳ロボット等の大型設備投資による数千㌧単位の更なる大規模化を目指すとか、肉用牛経営に加えて大規模酪農部門にも進出等の記事が目立っている。もちろん背景に畜産クラスター等の国の施策が反映されている。
マスコミの常として絵になり、話題性のあるものを求める。すると一般のマスコミでは、最新の設備機器を備えた大型牧場が取材対象になりやすい。将来、経営を継ごうとする若者は経験値の少なさから、こうした雰囲気を敏感に感じてしまいやすい面がある。年配者にはない勢いを持っているのが若者だ。その反面、大型化しないと時代についていけないのではとの不安も抱えることにもつながる。
現状のわが国酪農は、戸数・頭数に歯止めがかからず岐路にある。国は小・中規模経営であっても将来に向けて自信を持って持続できるとの施策とアピールをすべきではないか。