乳滴/2017年10月10日号
もう一人の私を大切に
ヒトの腸は免疫に関わる6割が集まる人体最大の免疫器官である。第2の脳と言われる。しかも小腸の最終地点だと無用長物と言われていたこともある盲腸、虫垂に集中していることは余り知られていない。ヒトは腸内細菌と共に生きており、身体だけでなく、心の健康にまで影響があることが分かってきた。
腸壁には1㍉足らずの絨毛が無数に密生。表面積は、藤田紘一郎氏(東京医科歯科大学名誉教授)の一般向け著書によると、腸管粘膜はバトミントンコートの広さくらい(約30平方㍍)、皮膚の約17倍にのぼるという。
お花畑にもなぞられる腸内細菌叢(そう)は、一般には腸内フローラと呼ばれる。1歳前後までに腸内細菌(種類)の構成等が決まるという。その中で有用な菌を増加させて、腸内細菌のバランスを取りながら免疫を落とさないようにすることを意識すべきであろう。
藤田氏の著書によると、昔からアトピー性皮膚炎や喘息は農業に携わっている人には発症が少なかったり、子供の頃に家畜と触れ合うとアレルギーになりにくいということが分かっていた。これにも腸管免疫が関わっているという。いずれにしても「腸内細菌という『もう一人の私』を大切にすれば健康もうまく回り出すのでは」と述べている。