全酪新報/2023年1月1日号
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「2023年度関連対策、早期乾乳の推進支援」――必要な研修等に奨励金
2023年度畜産・酪農関連対策(ALIC事業)では、「酪農緊急パワーアップ事業」(65億円)を新たに措置した。加工向け超過10万㌧を上限とした支援策(既報)を講じるほか、早期乾乳の推進に向けて生産抑制を計画している指定団体等を通じ、飼料分析や飼料の給与技術に関する研修の受講等に対して奨励金を交付するメニューも整備した。-詳細は全酪新報にてご覧ください-
お断り=本記事は1月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「北海道、乳製品向け乳価一律10円上げ」――4月から生乳販売対策は継続
ホクレンと大手乳業者等との2023年度用途別原料乳価の交渉が12月22日に決着した。緩和している生乳需給や脱粉の過剰在庫等を背景に交渉は難航したものの、生産現場の窮状を受け、昨年11月に引き上げた飲用等向けとその他向け(乳製品用途以外)を除き、乳製品向けの全用途で「1㌔当たり一律10円」値上げする。据え置きとしていた学乳を中心とした集団飲用向けも1㌔当たり10円値上し、ともに23年4月1日取引分から適用する。
このほか、需給緩和の改善に向け今年度実施している生乳販売対策は継続する方針で、需給状況次第では追加的措置も視野に入れている。なお、今回の交渉その結果、来年度のプール乳価は1㌔当たり約9円上昇する見通し。
全取引先約140社のうち、道内で取引のある大手や中堅乳業者等15社との間で合意したもの。今後、その他の乳業者とも交渉を進め、全取引乳業者との合意を目指す。
「農水省予算2兆2683億円確保」23年度当初予算案――エコ畜事業等を継続措置
政府が12月23日に閣議決定した2023年度当初予算案では、農林水産関係予算として今年度より0.4%、94億円減の2兆2683億円を概算決定した。酪農関連では、飼料作物作付面積を確保しながら温室効果ガス排出削減に取り組んでいる経営を支援する「環境負荷軽減型持続的生産支援事業」(エコ畜事業)に、63億2900万円を計上した。22年度補正予算の8206億円と合わせ、飼料の生産・利用拡大等を支援する食料安全保障強化に向けた構造転換対策、生産基盤の強化や需要拡大の推進等を後押しする。
酪農ではこのほか、加工原料乳生産者補給金の交付や加工原料乳生産者経営安定対策事業(ナラシ)の実施に向け、酪農経営安定対策に31億1600万円減の405億8400万円(所要額)を計上。先端技術の導入や乳牛の改良、国産飼料の生産・利用拡大などを支援する各事業を今年度予算に引き続き確保した。
「飼料高騰で上げ要素が69銭、乳量増等が下げ要素26銭」――加工原料乳補給金単価の算定
農水省が昨年12月14日に省内で開いた畜産部会では、2023年度の加工原料乳生産者補給金単価を1㌔当たり「8円69銭」、集送乳調整金単価を同「2円65銭」で答申・決定した(既報)。
牛乳乳製品課によると、補給金は飼料費の上昇等で上げ要素69銭、下げ要素は個体乳量の増加などから26銭となり今年度より43銭引き上げ。集送乳調整金は輸送費の上昇と集乳量の増加等から差し引き6銭引き上げで、合わせて49銭引き上げの『11円34銭』となった。
それぞれ内訳を見ると、補給金単価の上げ要素は、配合飼料価格の高騰による飼料費の増加が60銭、副産物収入の減少が8銭、その他生産費1銭上げの計69銭。下げ要素は乳牛償却費の減少12銭、個体乳量の増加14銭下げで計26銭。差し引き43銭上昇の8円69銭となった。
一方、集送乳調整金を見ると、上げ要素は集送乳に係る輸送コストの上昇がプラス16銭、下げ要素は加工原料乳の集送乳量増加がマイナス10銭。その他がプラスマイナスゼロとなり、結果、6銭引き上げの2円65銭となっていた。
なお、22年度は、補給金は飼料費が高騰する一方、個体乳量の増加などから据え置き。集送乳調整金も輸送費の上昇と加工原料乳の集送乳量増が相殺し合い、据え置きとなった。
「全酪連、配合飼料1~3月期は据え置き」――原料下げと為替相場が影響
全酪連は12月19日、2023年1~3月期の牛用配合飼料価格を前期(10~12月)価格から据え置くと発表した。トウモロコシ価格の若干の下げと円高など為替の影響が主な要因。トウモロコシは米国産地における生育期の高温乾燥等による作柄悪化懸念から10月には690㌣/㌴まで上昇。その後、輸出需要の低調を背景に12月は640㌣/㌴まで下落している。
このほか大豆粕は、大豆油需要の高まりに加え、米国農務省が11月に発表した需給見通しで、大豆生産量が上方修正されたことで11月後半には450㌦/㌧まで下落。その後、乾燥天候による南米産大豆の作柄悪化懸念から12月には520㌦/㌧まで上昇した。
一方、哺育飼料価格は原料の脱脂粉乳が中国の低調な需要により相場は弱含みで推移。1㌧当たり1万8千円の値下げとなった。
「牧場で輝く家畜の命」連載⑳瀧見明花里さんの写真エッセイ
今回は日本では珍しいガンジーのほか、ブラウンスイス、ホルスタインの3種の牛さんを撮影します。
お目当てのガンジー牛さんが1本道を歩いて行ったので、私はその先にある合流地点で隠れて待つことに。そんなことは知らずに、ゆっくりと草を喰みながら近づく足音が聞こえます。頃合いを図り、草の茂みから顔を出すと、牛さんとレンズ越しに目が合いました。ビックリしたのか不審者を見るような目で、私の顔をじっと見つめます。信用を取り戻すべく、意図せぬドッキリに謝罪をし、おそらく和解が成立しました。
その後、無事に多くの写真を残すことができ、大満足で帰宅しました。牧場には、純粋なホルスタイン種に見えて、実は別の品種が混ざった牛もいるので、念のため耳標番号で確認をします。すると、私がホルスタインだと思っていた牛さんは、なんとガンジー牛でした。私はまんまと引っかかり、知らぬうちにガンジー仲間から、ドッキリのリベンジを受けていたのでした。(全酪新報では毎月1日号に掲載しています)
プロフィール
瀧見明花里(AKAPPLE)
農業に触れるためニュージーランドへ1年3ヶ月渡航。2017年より独立。『「いただきます」を世界共通語へ』をコンセプトに、牛、豚、鶏をはじめとする家畜動物を撮影、発表。家畜の命について考えるきっかけを届けている。
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