乳滴/2021年2月10日号
生乳一滴への強い思い

新型コロナの影響が酪農乳業界にも直撃してから1年弱。生乳需給だけに限って見ても大きな影響を与え続けている。
この間、行政、酪農乳業関係者の強い思い(合言葉)は、乳業工場で処理しきれなくなる生乳(処理不可能乳)の発生を防ぐこと。1滴の生乳にかける酪農家の気持ちを無にしないようにだ。
もう一つ、かつて2006~07年に実施した減産型計画生産のような生産調整に陥らないように、様々な出口対策を拡充して実施することだ。
振り替れば、昨年3月2日から小中学校が臨時休校になり、学校給食用牛乳の供給が停止された。4月7日には緊急事態宣言が発令され、業務用の牛乳・乳製品の需要が急減。生乳の飲用から乳製品処理への緊急の振替を必死で行って乗り切ったのだ。賞賛されるべき緊急措置であった。
Jミルクの1月29日の需給予測では、20年度の全国の生乳生産見通しは、1%増の2年連続の増産(都府県0.3%増)。21年度も0.9%増の3年連続の増産(同0.6%減)となると予測した。
かつての生乳減産では酪農家の生産意欲が落ち、生産回復に長い時間がかかる教訓を残した。乳製品の過剰在庫対策が求められつつも、引き続き都府県の生産基盤の強化は行われなければならない。