全酪新報/2019年8月20日号

「性選別精液、預託活用で導入控え」―― 北海道と都府県会員が全酪連・主任者会議で搾乳素牛めぐり意見交換

2019-08-20

全酪連は8月2日、札幌市内に会員農協の担当者ら75名を集めて2019年度北海道・都府県畜産主任者会議を開き、搾乳用素牛をめぐる情勢について意見を交わした。初妊牛価格が高騰する中、都府県側からは、引き続き性選別精液活用による自家育成が増加している現状や、預託へのシフトが進み導入を控えている実情が説明されたほか、組合員間での取引が多く見られたことも報告された。一方、北海道側からは、昨年と比べ市場での価格が下がっていることに加え、性選別精液の利用によって資源は確保できるといった意見が出た。

お断り=本記事は8月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「二股出荷に苦言や所得減少の懸念」――改正畜安法で指定団体長が総会で言及

2019-08-20

2018年4月に施行した新たな補給金制度(改正畜安法)が今年で2年目を迎えた。その一方、運用上では「二股出荷によるいいとこ取り」や「契約期間中の販売先変更」など、様々な問題を抱えている現状にある。7月中~下旬に各地域の指定団体が開いた総会では、各指定団体の会長が冒頭の主催者あいさつの中で、同法に対する苦言や課題等についてそれぞれ言及した。現在は全量指定団体に出荷している地域もあるが、今後の生乳の安定供給や酪農家の所得減少を懸念する声が相次いだ。発言の一部を紹介する。


東北・伊藤一成会長


法改正による影響が少なからずあり、残念ながら第1四半期の受託販売実績は大きく減少した。酪農家の多様性に応えつつ、酪農家の所得向上と生乳の安定供給を目的に酪農家が販売先を自由に選択できるよう改正されたと理解しているが、実態は契約不履行やいいとこ取りと言わざるをえない二股出荷の発生など、秩序のない状況になっている。このままでは安定供給はおろか、最終的には酪農全体の所得減少に繋がっていくのではと懸念している。


関東・菊池一郎会長


指定団体は、翻弄された部分があると感じている。関東では、二股出荷、指定団体からの離脱が起きてしまった。それらは法律で認められているが、二股出荷に関しては、我々指定団体と会員に余計な経費が嵩み、負担が増える不都合が生じた。今後に懸念がある。


北陸・井上久会長


今年も全ての生産者から全量委託で契約され、これまで部分委託の動きはなかったが、部分委託等を放置した場合、指定団体に条件の不利な生乳が集まり、最終的には酪農家の所得低下に繋がると懸念している。今後も情勢変化に対応して指定団体を通じた生乳流通機能を強化し、会員とともに酪農家の負託に応えられる努力を続けていく。


中国・岡田穂積会長


各地で部分委託のようなものが発生した。中国地区内でも一部で部分委託が発生したが、今後このことがどのように動いていくのか非常に懸念している。この改正法の運用については、各地より見直しの議論が高まっていることから今後の影響を注視していく。


九州・隈部洋会長


生産者は生乳の販売先を自由に選択できるようになったが、九州管内においては、全量指定団体に出荷していただいている。そのことを受け、我々は酪農家が搾った生乳をしっかりと配乳し、最も高い価格で販売する努力を続けなければならない。

「2018年度、食料自給率は過去最低値に」――カロリーベース37%まで下がる

2019-08-20

農水省は8月6日、2018年度の食料自給率を公表した。カロリーベースの自給率は37%で、小麦や大豆の天候不順による単収減などを背景に前年度より1ポイント低下し、統計上において過去最低を記録した。牛乳・乳製品に関しては、乳製品の輸入増などを背景に、59%で1ポイント低下した。食料全体の生産額ベースでは、66%で前年度並みを維持した。


カロリーベースの自給率は、一部魚介類の漁獲量が増大するなどプラス要因もあったが、▽小麦や大豆の単収減▽天候不順を背景とする飼料自給率の低下を通じて畜産物の国産熱量減▽牛肉や乳製品の輸入増――等により低下した。


一方、生産額ベースは鶏卵の生産量増加による単価の下落等があったものの、国産てん菜由来の砂糖の製造量が増えるなど前年度並みだった。


そのほかの畜産物(カロリーベース)は、牛肉36%(前年度並み)、豚肉48%(1ポイント低下)、鶏肉64%(前年度並み)、鶏卵96%(前年度並み)だった。


18年度の畜産物の輸入量をみると、牛肉は8.4%増、乳製品は3.3%増。それらは今年3月末までの数値となるため、輸入量の増加はTPP11協定、日EU・EPA協定の発効による影響が全てではないが、食料自給率は計算する上で輸出すると上昇、輸入すると低下することから、今後の影響を注視する必要がある。

「粗飼料・濃厚飼料の自給率も悪化」――天候不順など要因、全体で25%に

2019-08-20

農水省はこのほど、食料自給率と合わせて2018年度の飼料自給率を公表した。それによると、天候不順等を要因に粗飼料自給率は2ポイント低下の76%、濃厚飼料自給率は1ポイント低下の12%とそれぞれ悪化した。それらを合わせた飼料自給率は25%で、前年度より1ポイント低下した。2015年度には28%と直近10年間で最も高くなったものの、過去30年あまりの推移を見ると、ほぼ横這いが続いている。


ここ数年の家畜飼養頭羽数の増加に伴い、年々濃厚飼料の需要が高まるなか、粗飼料同様、天候不順等を背景に国内産原料は減少傾向にある。


農水省は2025年度目標として飼料自給率40%、粗飼料自給率100%、濃厚飼料自給率20%を掲げているが、農業の担い手が年々減少するなか、目標を達成するためには2018年度の飼料自給率から15%も上昇させる必要があり、目標達成は容易ではない状況だ。

「非常電源に加え水の備えも」――全酪連・武藤理事が呼びかけ

2019-08-20

全酪連の武藤清隆理事(釧路丹頂農協組合長)は、8月2日に開いた北海道・都府県畜産主任者会議の閉会挨拶の中で、全国的に多発している自然災害への対策について「北海道は昨年、ブラックアウトが発生したことを受け、非常用電源の整備が進んでいる。都府県も東日本大震災によって確保していると思う。しかし、非常用電源だけでなく、もう一つ、水もしっかりと確保する必要がある。常にリスクに備えることが重要だ」と出席者に呼び掛けた。

「霞ヶ関でこども見学デー」――農水省内で模擬搾乳体験など

2019-08-20

農水省は8月7~8日の2日間、東京・霞が関の省内で消費者向けの公開行事「こども霞が関見学デー」を開き、農産物の展示やトラクター試乗、ドローン操作体験など様々な催しを実施。酪農関連では、牛乳乳製品課が実物大の乳牛の模型を使った模擬搾乳などのブースを出展し、酪農の理解醸成と牛乳の消費拡大に向けて来場者にPRした。


ブースでは1日3回(整理券配布制、1回20名まで)の搾乳体験のほか、同課職員による酪農家の仕事内容や牛の生態など酪農に関する説明などを実施。説明を聞いた子どもの中には酪農家の起床時間が早いことに驚く姿も見られた。


同課の丹菊直子課長補佐は今回の企画について「子どもの将来を見据え、搾乳体験を通じて今のうちに酪農に親しんでもらい、将来の応援団やファンになってもらいたい」と説明している。


なお、同イベントにおける模擬搾乳は今回が初めて。生産者の理解醸成活動や4月の飲用乳価値上げ、朝の連続テレビ小説「なつぞら」の放送など酪農への関心が高まっている状況を鑑みて実施を決めた。丹菊課長補佐は「理解醸成活動は風味問題の解決にも貢献するし、親世代の理解を深めることで消費促進にもつながる」と説明した。


2012年より実施している同イベントは、省内で子どもの府省庁等の施策への理解促進と、夏休みの思い出作り等を目的としたもの。農産物の展示やドローン体験など多くの催しが行われ、会期中は多くの親子連れが訪れてイベントを満喫。省内は多くの人で賑わった。

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