全酪新報/2019年7月1日号

「乳用雌牛の出生頭数増加傾向」Jミルク見通し――2歳未満、2~4歳計2万3千頭増、生乳増産への期待高まる

2019-07-01

Jミルクは、このほど、2019年度の生乳及び牛乳・乳製品の需給見通しを発表したが、その中で、生乳生産の背景となる北海道と都府県における月齢別の乳用雌牛の頭数について、推移と出生頭数を併せて公表した。それによると、2018年度の出生頭数は北海道・都府県ともに5%ほど増加。出生頭数は増加傾向にあり、過去10年間で2番目に多かった。2019年度は2歳未満と生乳生産の主力となる2~4歳の頭数が合計2万3千頭ほど増えることから、今後の生乳増産が期待される。

お断り=本記事は7月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「全国酪農協会、砂金氏(全酪連会長)が新会長に就任」――副会長に佐藤氏再任、隈部氏新任

2019-07-01

全国酪農協会は6月24日、都内で2019年度通常総会を開催し、任期満了に伴う役員改選が行われ、総会後の理事会で新会長に砂金甚太郎副会長(全酪連会長)を選任した。副会長は佐藤哲氏(北海道酪農協会会長)を再任、隈部洋氏(熊本県酪連会長)を新任した。


三国貢、中島裕志郎の両常務は再任、馬瀬口弘志会長は、一大事業であった酪農会館を建設し、全酪連、酪政連等の酪農団体を結集したが、健康上の不安もあり勇退し、今後は理事を務める。上野千里顧問も退任した。


総会の冒頭あいさつで馬瀬口会長は「引き続き都府県の家族経営における生産基盤強化対策、具体的には過重労働の解消や後継者確保等が課題となっている。本会の責務は引き続き中小規模の家族経営が誇りを持ち持続可能な経営への道筋をつけることだ」と述べた。


また、昨年12月末に竣工した酪農会館について「7月中にも全館入居が見込まれ、安定的な収支計画の見通しもたった。日本酪農の団結の場としての会館運営が出来るのも関係者のご尽力の賜物。改めて感謝申し上げたい。11年に会長職を拝命して以来4期8年にわたり微力ではあるが、会員の皆様のご指導を賜りながら務めてきたが、健康上の不安もあり本総会をもって退任する。皆様方に厚くお礼申し上げたい」とあいさつした。


馬瀬口会長の退任に際して、来賓祝辞の中で農水省の水野秀信牛乳乳製品課長は「馬瀬口会長のご尽力でここまで協会がやってこられた。引き続きご指導をお願いしたい」とし、全酪連の砂金会長は「日本の酪農界にとって重要な人材であった。これからも健康に留意され、ご助言をお願いしたい」と述べた。

「TAG交渉、両国間の主張に大きな隔たり」――政府、自民党に報告

2019-07-01

自民党が6月19日に開いた会合では、このほど米国・ワシントンで行われた日米物品貿易交渉(TAG)の閣僚級会合の結果について政府側が報告。交渉をめぐっては、昨年9月の共同声明に沿って日米双方で交渉を進展させる方向で一致している一方、日本側のTPPの譲許内容が最大限とする姿勢に対し、日本側は工業品、米国側は農産品を含めた市場アクセスの開放を求めており、いまだ両国間の主張には大きな隔たりがある。今後は技術的な論点について実務者間で協議を進める。


TAG交渉については、5月末の日米首脳会談を経て、6月10~11日には外務省や農水省、経産省の担当者による実務者協議を実施。約9千に及ぶ現行の関税品目(タリフライン)や関税率等に関して米国側と情報交換したほか、農産品や工業品について専門的・技術的な見地から協議し、閣僚級会合に向けた論点整理を行った。


6月13日には、茂木敏充経済再生担当相と米国通商代表部(USTR)のライトハイザー代表との間で協議。19日の自民党の会合の中で、澁谷和久内閣官房政策調整統括官は当日の協議について「まだまだ引き続きの協議が必要であり、いくつかの技術的な論点についてはお互いの専門家同士で議論させ、協議を前に進めようということで一致した」と報告した。


また、自民党が開いた会合では、森山裕TPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部長が同交渉における『農業分野の先行』の可能性について言及。「農産品だけ、工業品だけというのはWTOのルール上あり得ないことだ」と懸念を示したことに対し、澁谷政策調整統括官は「ほぼ全ての貿易をカバーする形でないとこれまでの決議を反故することになる。農産品だけ、工業品だけというのは原理原則ありえない」として、パッケージでの交渉を進めていく意向を改めて強調した。


6月28~29日の大阪G20サミット期間には、茂木担当相とライトハイザー代表による閣僚会合を開催。今後も引き続き精力的な閣僚、実務者協議が進められる。


現在、7月21日投開票の参院選後など、早期合意を目指すとする情報が報道等で散見されるなか、政府は否定しているものの、来秋の大統領選を見据えた米国側の思惑もあり、今後の動向には注視が必要だ。


「日米共同声明に沿って議論」内閣官房・澁谷統括官


内閣官房は6月25日、日米物品貿易交渉(TAG)実務者協議の結果を発表。20日にアメリカで工業品、25日に東京で農産品について議論されたが、具体的な品目や内容は明かさなかった。内閣官房TPP等政府対策本部の澁谷和久政策調整統括官は「お互いの立場を確認した。アメリカ側の強い希望により、協議内容は差し控えることになったが、昨年9月の日米共同声明に沿って議論している」と説明するにとどめた。

「取引は毅然とした対応で」農水省・金澤調整官――新制度2年目の現状説明

2019-07-01

農水省牛乳乳製品課の金澤正尚乳製品調整官は6月12日、酪政連が都内で開いた中央委員会で改正畜安法2年目の現状について説明。「旧制度では、拒否できる理由があっても申し出があれば拒否できなかった。しかし、現在は正当な理由に該当すれば拒否できる。生乳を取引する中で、毅然とした対応がいいとこ取りの防止にもつながると思う。制度を理解して対応していただくことが重要だ」と呼びかけた。


一部の現場において部分委託や期中の契約変更などが発生していることについて、金澤調整官は「様々な申し出が起こっていることは承知している。しかし、全体的な数字を見ると、1年目の18年度は引き続き指定団体への出荷が90%以上を占めた。2016年度、2017年度と比べても大きく落としてはいない」と述べた。


農水省は2019年度の交付対象数量を340万㌧に設定。そのうち、各指定事業者へ約330万㌧配分した。金澤調整官は「各事業者からの販売計画を積み上げたが、約10万㌧余っている。言い換えると、需給ひっ迫の裏返しであり、増産可能な部分としての枠があるということ」とした上で「夏場の飲用消費次第で加工原料乳は増減するが、しっかりと搾れる環境にある。需給緩和によるものではなく、増産により残りの枠を追加配分することになればいいと思う」と述べた。

「7~9月期の配合価格1㌧300円値下げ」――大豆粕在庫過剰、円高が要因

2019-07-01

全酪連は6月21日、7~9月期牛用配合飼料価格を前期(4~6月期)に比べ、全銘柄平均1㌧当たり300円値下げすると発表。主に米中貿易などが影響した大豆粕の過剰在庫に対する懸念や南米産大豆の豊作による相場の軟調な推移、円高等が要因。


一方、牛用哺育飼料については、欧州の脱粉在庫の減少、オセアニアでの生産量減少による脱粉の生産量低下などが影響し、1㌧当たり7千円値上げする。


JA全農も同日、7~9月期の配合飼料価格を全国全畜種総平均1㌧当たり約400円値下げすると発表した。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なる。

「全国的にF1交配率が上昇、性判別精液利用さらに進む」――家畜人工授精師協会

2019-07-01

日本家畜人工授精師協会は6月18日、2019年1~3月期の乳用牛への黒毛和種の交配状況を取りまとめた。それによると、全国の平均交配率は34.8%で、前期(18年10~12月)比2.1ポイント、前年同期比で1.6ポイントそれぞれ上昇し、北海道、都府県ともに前期比、前年同期比を上回った。また、全国の性判別精液利用割合は16.1%で前期比0.3ポイント、前年同期比1.9ポイント上昇。右肩上がりでの推移が続いている。


北海道における黒毛和種の交配率は23.4%。前期に比べて1.7ポイント上昇、前年同期比においても2.1ポイント上昇した。一方、都府県は48.7%で前期比2.6ポイント、前年同期比1.1ポイントそれぞれ上回った。


交配状況が生乳生産に影響を与えるのは、妊娠期間・育成期間を経た3年後となる。

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(業務部・共済制度)
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