全酪新報/2018年4月1日号

「Jミルク特別対策事業、地域の生産基盤強化に注力」――後継牛増頭、供用延長も対象に

2018-04-01

Jミルクは3月2日、2017年度から実施している乳業者の拠出を財源にした乳用牛輸入等を支援する酪農乳業産業基盤強化特別対策事業の実施状況と2018年度以降の方針を報告した(一部既報)。今後はさらに地域の生産基盤強化に注力する方針で、「乳用後継牛増頭対策」、「供用年数延長促進対策」の2つを新規メニューに追加した(原則2年間は同様の仕組み)。2021年度までに年平均1万3千頭減少する見通しの中、乳用牛輸入のメニューと合わせ年間減少分を補填する効果を見込んでいる。

お断り=本記事は4月1日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「中酪・中期計画、今後3カ年も増産目指す」――新制度に移行、販売計画もとに実施

2018-04-01

中酪は3月13日、2018~2020年度も引き続き「3年間は生乳の増産・維持」とする中期的な生乳需給安定化対策(計画生産対策)の基本方針を決めた。同対策は前年度までは、各指定団体ごとの受託販売計画をもとに積み上げ方式で目標数量を決定・配分していたが、4月1日より新たに施行される改正畜安法に基づき、各指定団体が作成して国へ提出した年間販売計画(公共分含む)の「総量」を全国での2018年度の出荷目標数量とする。それに伴い、従来までの販売基準数量等の生産枠や新規就農枠、超過・未達に係る措置は休止する。


これまでの生産枠は、①販売基準数量②特別調整乳数量③選択的拡大数量の3つの生産枠で構成していた一方、今年度より指定団体ごとに計画を作成するため、新規就農者枠や目標数量の指定団体間調整を含む超過・未達に係る措置は休止。前年度に引き続き積み上げ方式を基本とした上で、新たな補給金制度に基づく年間販売計画を軸に需給の安定化を図る。


また、中酪では2012~14年度より3カ年は「減産しない」とする中期対策のもとに、生乳増産を進めてきたが、2018~20年度の3カ年は2015~17年度と同様に「生乳の増産・維持」を基本方針として、増産に注力する。


さらに、都府県の生産基盤弱体化の実態をふまえ、2020年度を目標年度に都府県における中期出荷目標数量を設定。前年度以上の生産減退を防ぐため、各指定団体の2017年度の受託販売乳量(実績)を中期出荷目標数量とした。目標の実現に向けて指定団体に対しても▽生乳生産基盤維持・強化計画を県会員等と協議した上で作成▽県会員と連携した計画の着実な実行▽域内の基盤強化対策の進捗管理――などの実施を求めていく。


一方、需給緩和時の対策について中酪は「需給の緩和の出方がどのように出てくるのかで対応は変わるので、適宜需給状況を見ながら考えていく」としており、需給動向をふまえた上で輸出や国による備蓄、新規需要の開拓など、対応方法は必要に応じて検討していく方針だ。

「離農と新規就農の縁結び推進、規模拡大伴わない支援対策を要請」酪政連・大槻委員長インタビュー――乳業との連携で基盤強化を

2018-04-01

3月7日、酪政連の新しい委員長に就任した大槻和夫氏は「酪農生産基盤を維持するためには、規模拡大を伴わない施設や機械の補改修、ふん尿処理施設の更新への支援が必要だ。乳業とともに酪農家戸数を減らさないための対策を考える必要もある。離農を予定している酪農家と新規就農希望者の縁結びにも注力したい」などと抱負を述べた。今後の酪政連運動の考え方などについて話をうかがった。


委員長として、まず最初に思うことは、日本酪農のために頑張りたいという言葉に尽きる。長年、佐々木勲前委員長のもとで副委員長を務めてきて思うことは、今までの運動を継続するべきだということだ。


その中で強いて言うならば、高齢で離農を考えている酪農家と新規就農希望者の縁結びを、委員長として大きな取り組みとしたい。日本には酪農家になりたい人がたくさんいる。それは、北海道に限ったことではなく、都市近郊で酪農をしたいと考えている人もいる。


しかし、新規就農を望んでも一から牧場を整備するとなると、多額の投資が必要になる。そこで、廃業を考えている牧場を第三者に継承すれば、投資は抑えられる。私自身、実践する予定だ。酪政連として、そういった取り組みを政府や自治体に働きかけたい。全国酪農青年女性会議との連携も効果があるのではないか。


社会全体と同様、酪農も高齢化が進んでいる。その中には後継者が不在の酪農家が多数いる。そういった方々が、1年でも長く健康に酪農を続けられる環境作りが重要だと考えている。


もちろん、最大の課題である生乳生産基盤を維持・拡大するためには、畜産クラスター事業を活用し、地域ぐるみで規模拡大を推進する必要はある。しかし、それだけではなく、規模拡大を条件とはせず、後継者がいなくても、あと10年は酪農を続けたいと考えている酪農家のための支援もお願いしたい。


具体的には、バルククーラー、パイプライン、バーンクリーナーの更新や修理、メンテナンスに対する支援を要請したい。実現できれば、都府県対策の目玉として、基盤強化につながるのではないか。


加えて、ふん尿処理施設の問題もある。家畜排せつ物法が本格施行された2004年11月までに整備した施設や機械はかなり傷んでいて、もう限界に来ている。更新や補修も支援の対象となるよう、積極的に政府・与党へ求めていく。


もう一つ、乳用後継牛の確保も大きな問題だ。性判別精液の活用も重要だが、それ以外にも乳業メーカーの拠出金を財源にJミルクが実施している乳牛の輸入事業を積極的に活用すべきだと考えている。性判別精液の利用拡大、預託牧場の利用と合わせて輸入事業を活用すれば、後継牛の頭数は1、2年後に回復してくるのではないか。


我々の世代と今の若い酪農家は、休日に対する考え方が異なっている。しかし、休日を確保するために必要な酪農ヘルパー要員がなかなか確保できない。若い酪農家のためにも酪農ヘルパー制度の充実を含め、積極的に国に働きかけたい。


都府県は狭い耕地であっても、その土地に適した飼養頭数で経営が続けられて生活できる酪農が重要だと思う。消費者は家族で頑張っている酪農を応援してくれているはず。私の最も大きな願いは、できる限り家族経営の火が消えないようにすることだ。


しかし、依然として酪農家戸数の減少に歯止めがかからない。もちろん、我々生産者組織がその課題を解決しなければならないが、乳業メーカーにも酪農家戸数を減らさないために何をすべきか考える必要があると思っている。乳業メーカーと一緒に知恵を出し合い、場合によっては、酪政連活動に協力していただきたいとも思っている。


言うまでもなく、我々酪農家は日本の食料生産を担っている。近年は牛乳・乳製品の需要が堅調な一方、それに応えるべく生乳を供給できず、乳製品は輸入に頼っている。しかし、必要な分を輸入できるうちはいいが、モノが手に入らなくなるかもしれない。我々酪農家は「国民のために貴重なタンパク質を供給している」ということをもっと消費者に強調すべきだろう。


そのためには、酪農家が一堂に会して気勢を上げる必要があるかもしれない。「酪農家は国民のために食料生産を担っているんだ」ということを強調し、消費者に味方になってもらえるような決起集会がいいだろう。街を練り歩くデモ行進でなくても、決起集会を開くことで与党に酪政連の存在を訴えることもできる。


プロフィール


1949年10月18日生まれ。73年3月国学院大学経済学部卒業、同4月就農。96年2月ひので酪農協理事、2002年3月同組合長、2004年7月茨城県酪連会長、2005年7月全国酪農協会理事、2006年7月全酪連副会長、2008年2月酪政連副委員長、2009年7月関東生乳販連副会長、2018年3月酪政連委員長。

「TPP関連法案閣議決定」――今国会での成立目指す

2018-04-01

政府は3月27日、TPP11協定と関連整備法改正法案を閣議で決定した。同日、国会に提出した。6月まで開かれる今通常国会での成立を目指す。10月までに6カ国が国内手続きを終えれば、TPP11協定は年内に発効する。


政府は2年前にTPP整備法として、従来の予算措置から法制化した上で補てん割合を増やす畜産物の価格安定に関する法律(牛・豚マルキン)のほか、関税暫定措置法、著作権法、商標法などTPPに関連する11本の法律を一括して国会に提出。今回は米国離脱後の整備法の題名と施行期日のみを変更した。


内閣官房TPP等政府対策本部の澁谷和久政策調整統括官は「日本が率先して可能な限り早く国会で承認いただきたい」と説明した。

「4~6月期の配合飼料㌧1100円値上げ」全酪連――大豆粕価格の上昇が影響

2018-04-01

全酪連は3月26日、4~6月期の牛用配合飼料価格を前期(1~3月)に比べ、全銘柄平均1㌧当たり1100円値上げすると発表した。南米の天候不良による大豆価格の上昇が主な要因。


哺育飼料価格は欧州の乳製品在庫が潤沢にあることが値下げ要因となり、1㌧当たり3万8千円値下げした。


全農も値上げ


JA全農も23日、同期の配合飼料価格を全国全畜種総平均1㌧当たり約1100円値上げすると発表した。改定額は地域別・畜種別・銘柄別に異なる。

連絡先・MAP

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所在地 〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-37-2
酪農会館5階
電話番号 代表(総務部):03-3370-5341
(業務部・共済制度)
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(指導部・全酪新報編集部)
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