全酪新報/2018年3月20日号
TPP11カ国「新協定に署名、早ければ年内発効か」――日本が主導的役割果たす
自民党は3月13日、TPP・日EU等経済協定対策本部、内閣第二部会、外交部会合同会議を開き、3月8日(日本時間3月9日未明)にチリ・サンティアゴで行われたTPP11協定の署名式について報告を受けた。署名式を受け、11カ国は今後、早期発効を目指して国内手続きを進める。政府によると、日本が果たした主導的な役割に対して、各国から謝意が表された。早ければ年内にも発効する可能性もある。閣僚声明では、新規加盟国を歓迎する文言も記された。
お断り=本記事は3月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「茂木担当相、月内メドに関連法案提出」――早期発効の機運高める
合同会議に出席した茂木敏允経済再生担当相は「多くの困難があったが、それを克服して速いスピードで署名に至ることができた。署名によって最終的に確定した協定と国内関連法案については、今月中をメドに国会に提出し、早期に承認を求めたい。日本が率先して動くことで早期発効に向けた機運をさらに高めたいし、連絡調整を含め、日本は各国から事務局的な機能を期待されている」と強調した。
チリ・サンティアゴで行われた署名式について、茂木担当相は「11カ国の閣僚による署名が滞りなく行われた。署名式に先立つ閣僚会合では、日本が果たしてきた役割について、各国から謝意が表された」と述べた上で「各国とも発効に向けて速やかに国内手続きを進めるという前向きな表現があり、想定よりも早く進みそうな印象を受けた」と説明した。
自給飼料生産コンクール「及川さん夫妻(北海道別海町)に生産局長賞」――ET和牛生産する放牧酪農
日本草地畜産種子協会(野口政志会長)は3月5日、都内で第4回全国自給飼料生産コンクール賞状授与式を開き、岩切治俊さん(宮崎県、肉用牛繁殖経営)が農林水産大臣賞を受賞。酪農関連では、経営の随所で低コストを徹底し、受精卵移植による計画的な和子牛生産も行っている放牧酪農経営を営む及川哲夫さん・育子さん夫妻(北海道根室管内別海町)が生産局長賞に選ばれた。
審査委員長を務めた萬田富治氏(一般財団法人生物科学安全研究所顧問)は、及川さんの経営の優れているポイントについて▽和牛受精卵移植の有効的な活用▽3.2産と高い平均産次▽高い平均産乳量(8500㌔)と飼料費削減の両立▽草地管理やふん尿利用など全体の資源循環を上手に管理している点――などと説明。同経営の持続可能性を高く評価した。
受賞を受けて及川さんは「このような大変な賞をいただいて恐縮している。(就農時は)ほとんど酪農の「ら」の字も知らない状況だったが、周りの人に色々教えてもらったおかげでここまでやってこれた。畑も毎年気候等により変わる生き物みたいで、結局幾つになっても分からないこともある。こうやって考えながらやれるということは非常に良い職業を選んだと思っている」と語った。
同コンクールは自給飼料の効率的な生産や放牧等の飼料基盤に立脚した優れた経営事例を選定・表彰するもの。持続可能な畜産経営の実現に向け、飼料基盤の重要性の啓発を目的に例年開催している。
「酪農は地域産業の軸」――馬瀬口全国酪農協会会長が札幌で強調
全国酪農協会の馬瀬口弘志会長は、同協会が3月9日に札幌市内で開いた北海道地区酪農講演会の冒頭「酪農は食料を生産するだけの産業ではない。地域を構成する産業の軸となって、地域を守り発展させる大きな役割がある。地域で必要とされる誇りある産業を目指してほしい」とあいさつ。「酪農家戸数は減少を続け、貿易はグローバル化する中で将来に不安を抱えている酪農家も多い。世の中に振り回されては成り立たない。地域の柱として必要とされる産業となるよう願っている」と述べた。
また、今年の12月竣工予定の新しい酪農会館について「酪農が全国の地域をしっかり守って誇りを持てる産業となるよう、自分達の立ち位置を確立する。そして(新酪農会館に)皆さんの気持ちが集約されることを心から願っている」と建設の意義を述べた。