全酪新報/2017年3月20日号
「今こそセーフネットの創設を」 東大・鈴木教授が酪政連・新潟県支部で講演――「国際市場は今後も拡大、今が踏ん張りどころ」
「今こそセーフティネットを創設すべき」――。東大大学院の鈴木宣弘教授は、3月9日に新潟市内で開かれた酪政連新潟県支部の総会で、酪農をめぐる情勢と対応方向と題した講演の中で強調した。国際貿易交渉や指定団体改革問題など厳しい状況を乗り越えるためにも、一致団結して国に求めるよう呼びかけた。講演内容の一部を紹介する。
お断り=本記事は3月20日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。
「食料・農業・農村政策審議会の企画部会が2016年度白書の骨子案提示」 ― 食料安全供給の取組など4本柱で構成
農水省は3月6日、省内講堂で食料・農業・農村政策審議会企画部会を開催し、2016年度食料・農業・農村白書の骨子案を提示した。①食料の安定供給の確保に向けた取り組み②強い農業の創造に向けた取り組み③地域資源を活かした農村の振興・活性化④大規模災害からの復旧・復興――の4本を柱としている。また、農業競争力強化プログラムで示された、生産者所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みと見直し、生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立などについても特集で取り上げる。5月の閣議決定に向けて今後、議論を進める。
骨子案について、中嶋康博部会長(東大大学院教授)は「全国市町村の農業産出額の推計値データは非常に注目度が高い。できれば全て公開してほしい。どこが頑張っているかが注目されるが、実はどこが縮小していったかが非常に重要だ。過去と比較してどのような変化があったのか。色々な議論が必要になってくる」と公開の必要性を指摘した。
また、臼井貴之委員(臼井牧場代表、別海町)は「世界の中でみた時に日本のエンゲル係数はどうなのかと言った比較が本編の中にあればいい。さらに国内の農畜産物価格は国際的に見た場合、それぞれの国と比較して高いのか安いのかといったことを今後取り上げてほしい」と求めた。
「JA全中が通常総会、自己改革実践を特別決議」 ― 山本農相「農業者のメリット拡大を」
JA全中(奥野長衛会長)は3月10日、都内で第63回通常総会を開き、農業者の所得増大・農業生産の拡大を最重点事項として取り組むなどとするJAグループの自己改革の実践に関する特別決議を採択した。来賓挨拶した山本有二農相は、4月で施行から1年が経過する改正農協法について「いよいよ自己改革を具現化し、実践する段階に入ってきた。総力を挙げて農業者のメリットの拡大を実現してほしい」と求めた。
冒頭、奥野会長は「地域や生活を支える社会の力は弱まっており、行政だけでは社会的課題の解決は困難になりつつある。地域に根差し、農業と地域社会に貢献していくというJAの社会的使命と役割は一層求められている。今後とも国内外の系統組織、協同組合の仲間とともに、確信を持って共同運動していきたい」と挨拶した。
全中は17年事業計画の重点事項として①農業者の所得・生産拡大②組合員のメンバーシップ強化③准組合員の利用規制検討を踏まえた取り組み④公認会計士監査への準備⑤広報活動⑥法人移行対策――の6項目を掲げた。
自己改革の実践に関する特別決議の中では、農業者の世代交代期であることを踏まえ、「農業者所得の増大」、「農業生産の拡大」を最重点として取り組むほか、総代会や役職員による全戸訪問などを機に、組合員に対して今日までの成果を伝え、今後の実践計画を具体的に提示するなどとしている。
「関東生乳販連がNHK前で酪農体験を提供」 ― 疑似搾乳体験・バター作りなど、酪農家22名、学生14名が協力
関東生乳販連は3月11~12日の2日間、東京・渋谷区のNHK放送センター前・代々木公園で開かれた「ふるさとの食 にっぽんの食 全国フェスティバル」に出展し、関東ブロックの酪農家22名と日大生物資源科学部、日本獣医生命科学大学の学生14名の協力のもと、疑似搾乳体験やバター作り体験などを提供した。同イベントは全国各地の農産物や食材を紹介し、地産地消や食育の大切さを伝える目的でJA全中とNHKなどが主催し、毎年開いている。
関東生乳販連のブースでは、疑似搾乳体験や酪農家の仕事、ウシのエサや体のつくり、牛乳の栄養などを直接酪農家と話し合い知ってもらう「らくのうクイズラリー」や、バター作り体験などを提供した。両日とも天候にも恵まれ、関係者によると「ソフトクリームは例年だが、今日は牛乳が良く売れている」と語った。
今回は6年目を迎えた東日本大震災や昨年の熊本地震の「復興応援ゾーン」を設置。また、各所でぬいぐるみのキャラクターや2020年の東京オリンピック・パラリンピックのコーナーを設置。好天にも恵まれ、多くの来場者で賑わった。
イベントに協力した牧場、団体、大学は次の通り。
【栃木県】体験館TRY TRY TRY、㈱那須の農、酪農とちぎ農協【群馬県】神津牧場、人間牧場、富澤牧場、東毛酪農協【埼玉県】吉田牧場、シンボライズファーム亀田牧場、交牧連準会員【千葉県】㈱加茂牧場、切替牧場、須藤牧場、湯浅牧場【神奈川県】関口牧場、柿澤牧場、福田牧場【静岡県】㈱松下牧場、ハートランド朝霧、三浦牧場、富士ミルクランド、エクインホリック【学生】日大4名、日本獣医生命科学大10名。