全酪新報/2017年2月10日号

「後継牛・飼料作付増加で追加交付」都府県向け、参加要件の緩和も――2017年度の飼料生産型酪農支援事業

2017-02-10

農水省は2017年度の農林水産関係予算で、自給飼料生産と環境負荷軽減に取り組む酪農家を支援する「飼料生産型酪農経営支援事業」に1億6千万円増額の69億6千万円を計上した。新たに乳用後継牛の増頭のための自給飼料生産を強力に支援するほか、都府県の酪農家向けに事業の参加要件も一部緩和する。

お断り=本記事は2月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「後継牛確保対策を強化、畜舎整備、機器導入助成」など――2017年度ALIC事業

2017-02-10

2017年度の酪農関連対策(ALIC事業)の中で、酪農経営支援総合対策事業(所要額40億7500万円)が決定したが、乳用後継牛を緊急的に確保するための取り組みを強化するなど、内容を一部拡充した。農水省が1月17日に開いた全国畜産課長会議で牛乳乳製品課の本田光広乳製品調整官は「乳用後継牛をしっかり確保するためのメッセージ。そのための対策をまとめて実施する」と述べた。


同事業は、①乳用後継牛の緊急的な確保、②生乳流通体制の合理化の推進、③生乳需要基盤の確保の推進、④酪農ヘルパーの利用拡大、⑤女性・リタイア世代等の就農・定着の推進、⑥乳用牛能力向上の推進――の6つのメニューを設定した。


そのうち、牛乳乳製品課が担当する①は従来の酪農生産基盤の強化から深刻化している乳用後継牛の確保を前面に打ち出してメニューを拡充した。後継牛を育成するための簡易畜舎の整備や機器の導入への助成、育成牛の事故率を低減するためワクチン接種への助成(1頭当たり1千円)、48カ月齢以上の乳牛を対象に供用期間を延長するための肢蹄保護、乳房炎防止への助成(1頭当たり1千円)、育成牛の地域内流通への奨励金の交付(1頭当たり3万2千円)を追加。後継者の初妊牛導入支援(1頭当たり5万円)、乳用牛の地域内継承への奨励金交付(1頭当たり3万2千円)なども従来通り実施する。


また、②のメニューについては、地震や台風など緊急時の非常用電源や乳温記録システムの整備を新たに加えた。生乳流通関係機器のリース導入、貯乳施設の減容化・補改修、乳代精算方法の効率化への支援は継続する。③の事業内容は従来通り、酪農理解醸成活動や乳和食など新たな利用場面の普及、生産者自ら製造する製品の需要拡大のための技術研修や販路拡大などの取り組みを推進する。

「規制改革推進会議が酪農関連法への意見を状況に応じて提示へ」 ―第9回目会合で議論

2017-02-10

政府の規制改革推進会議は1月30日、農業ワーキング・グループ(WG)の第9回目の会合を開き、牛乳・乳製品の生産・流通に関する規制改革の実施状況など、これまでの改革の取り組みについて確認し、委員間で議論を交わした。現在、政府は法案作成に向けて酪農関連の法改正等に関して論議しているが、事務局の内閣府は今後、法改正に対し同会議としての意見を提示する可能性について言及。「アウトプットのタイミングは基本的には出さざるを得ない中で出す。事務局としてあまり想定していないが、そこは状況次第でなんとも言えない」と話している。


会合は非公開。会合後にその概要について報道関係者に事務局が説明した。


加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の廃止など、法改正を進めている内容に関して、事務局は「昨秋の議論の関係でその一つのアウトプットとして出された法案について、WGの中で当面は必要に応じて議論していくことになる。具体的には生乳流通改革に関連する法案については、農水省から報告が入り次第、可及的速やかに検討状況について話を聞いて議論していく」と説明した。


その上で「アウトプットのタイミングは基本的には出さざるを得ない中で出す。国会への提出は一番遅くて3月半ばになる。事務局としてあまり想定していないが、そこは状況次第なのでなんとも言えない」と述べた。

「必要な畜産対策、昨年は土台作り、今年は実行の年」― 農水省の大野畜産部長が全国畜産課長会議で強調

2017-02-10

農水省は1月17日、省内講堂に都道府県の畜産担当者や関係団体の役職員らを集めて全国畜産課長会議を開催した。農水省の担当者が2017年度当初予算の概要などを説明したもの。会議の冒頭、大野高志畜産部長は一昨年のTPP大筋合意以降、加工原料乳生産者補給金単価の一本化や畜産クラスター事業、働き方改革による新規事業などを措置してきたことに関して「必要な対策はかなりの部分で講じることができた。昨年は土台作り、今年は実行の年であり、すでに講じた対策の効果が上がるよう十全に取り組んでいく」と強調した。


昨年11月29日に策定された農業競争力強化プログラムについて大野部長は「13あるプログラムのうち、11月末ギリギリまで揉めた中の一つが生乳の流通改革だった。規制改革推進会議から様々な提言が出されたが、一定の形でプログラムを策定した。また、提言の中に酪農の働き方改革がある。概算要求の段階で2017年度予算では要求していなかったため影も形もなくゼロだったが、酪農家のための省力化機械導入に助成する事業に60億円を措置することが出来た。それにより、体質強化対策がかなり強化された」と経緯を説明した。


また、大野部長は一本化された補給金に関して「今年度の所要額は306億円だが、来年度は370億円。そのような形で新しい制度のスタートが切れる」と述べた。

「生乳生産は減少、乳製品需給は輸入で安定」―Jミルクの2016年度生乳需給見通し

2017-02-10

Jミルクが1月27日に公表した2016年度の生乳需給見通しによると、2016年度の全国の生乳生産量は736万トンで、前年度を0.6%下回る見通し。需要面では、牛乳は増加、はっ酵乳も堅調が続く。乳製品はカレントアクセス(CA)と追加輸入で不足分を補い、需給は安定する見通し。昨年11月までの実績をもとに予測した。


なお、2017年度の見通し(2月1日号・既報)では、生乳生産量は1.2%減、牛乳の消費は微減で推移する見通しだ。


2016年度の地域別の生乳生産量では、北海道は390万3千トンで0.1%増と前年度をわずかに上回る。都府県は345万7千トンで1.4%減。依然として減少傾向が続いているが、夏季の生乳生産の落ち込みは当初の予想よりも少なかった。


牛乳類の生産では、牛乳は304万9千㎘で1.2%増。15年4月の価格改定が一巡し、ほぼ毎月前年を上回った。また、はっ酵乳は110万1千㎘で1.8%増。機能性の訴求といった取り組みが奏功し、下期は増加幅が減少傾向にあるが、依然として増加傾向にある。一方、加工乳・成分調整牛乳、乳飲料は減少傾向が続く。加工乳は10万㎘で2.9%、成分調整牛乳は33万6千㎘で3.8%、乳飲料は121万4千㎘で6.0%それぞれ減少する。


乳製品需給の見通しについては、脱脂粉乳・バターとも国内生産量はやや減少する。しかし、2015年度の輸入残量と2016年度のCA、追加輸入により十分な供給量が確保され、年度内の乳製品需給は安定して推移する。


脱脂粉乳の供給量は生産量12万5千トン(4.0%減)に輸入売渡の8800トンを加えた13万3800トンで、前年度を4.7%下回る。一方、需要量(推定出回り量)は13万4900トン(0.5%減)で、需要量が供給量を1100トン上回る。その結果、年度末在庫は5万400トンで2.1%減少する。


また、バターの供給量は生産量6万5千トン(2.0%減)に輸入売渡の1万1800トンを加えた7万6800トンで、前年比2.9%減。それに対し、需要量は7万4200トン(0.9%減)で、供給量が需要量を2600トン上回る。その結果、年度末在庫量は2万4600トンで11.7%増加する。

「指定団体の機能発揮と乳価交渉力強化が重要」― 本田乳製品調整官が指定団体改革に言及

2017-02-10

農水省牛乳乳製品課の本田光広乳製品調整官は、農水省が1月17日に開いた全国畜産課長会議の席上、規制改革推進会議が昨年11月末に取りまとめた農業競争力強化プログラムのうち、加工原料乳生産者補給金制度の改革に関する部分に言及。「現行の指定団体は今後もその機能を適正に発揮することと、引き続き乳価交渉力を強化することが極めて重要だ」と述べた。


その上で「指定団体に出荷する生産者のみに国が財政支援する方式は見直しということで、生産者が出荷先を自由に選べる環境の下で経営マインドを持ち、創意工夫しつつ所得を増大させる必要がある。国はその方向で基本的なスキームを作ることになっている。関係者の意見を聞きながら十分な調整が必要になる」と述べた。

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