全酪新報/2016年12月10日号

「2017年度加工原料乳生産者補給金」年内決定へ ― 政府・与党、液状乳製品向けなど補給金に追加

2016-12-10

2017年度の畜産物価格・関連対策をめぐり政府・与党の議論がスタートした。12月中旬にも決定する見通し。TPP対策として来年度から加工原料乳生産者補給金の対象に生クリーム等液状乳製品向け生乳を追加し、従来の脱脂粉乳・バター等向け、チーズ向けと単価を一本化するにあたり、その算定方式と改正後、初年度の補給金単価の設定が焦点となる。

お断り=本記事は12月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「酪農生産基盤強化対策」自民党、来年度予算編成大綱で方針として明記

2016-12-10

自民党は12月2日、農林・食料戦略調査会(西川公也会長)、農林部会(小泉進次郎部会長)合同会議を開き、2017年度農林関係予算編成大綱を承認した。大綱では畜産・酪農の生産基盤強化対策を推進する方針を明記した。西川会長は年内の予算概算決定に向けて議論を求めた。


大綱では「畜産・酪農の競争力を強化するため、収益性の向上、国内飼料生産・利用の拡大等を推進し、生産基盤を強化する。あわせて畜産・酪農経営安定対策を推進する」と明記した。このほか、飼料用米等の作付けを支援する水田活用の直接支払交付金の継続なども盛り込んだ。

「酪政連が後継牛緊急対策などを要請」-来年度畜産物価格等の決定に向け要請運動

2016-12-10

酪政連は12月1日、東京・永田町の自民党本部で常任・中央委員合同委員会を開き、2017年度畜産物価格・酪農対策に関する要請事項を決定した。緊急対策として、後継牛確保対策と自給飼料対策を求める。委員会終了後、酪政連委員は衆議院第1議員会館で開かれた自民党酪政会に出席し、要請を行った。


要請事項のうち、生クリーム等液状乳製品向け生乳の追加と単価一本化が実施される来年度の加工原料乳生産者補給金については、生産者が意欲をもてる補給金単価と、国内の乳製品需給状況を考慮した適切な交付対象数量の決定を要請した。加工原料乳等生産者経営安定対策事業(通称=ナラシ)の継続も求めた。


緊急対策として要請した後継牛確保対策では▽酪農経営支援総合対策事業(ALIC事業)▽性判別技術の活用を支援する畜産・酪農生産力強化対策事業――などの拡充を要請した。自給飼料対策では▽国産粗飼料(飼料イネ含む)の広域流通体制整備▽飼料作物生産に対する支援強化――などを求めた。


さらに、畜産クラスター関連事業が参加希望者に行き渡る措置や、酪農ヘルパー要員確保への支援を盛り込んだ。

「指定団体改革」酪農家の意見の反映を - 佐々木委員長が要望

2016-12-10

政府・与党は11月29日までに指定団体制度改革を含む農業競争力強化プログラムを策定した。加工原料乳生産者補給金は条件付きで全ての生産者が交付対象となるよう見直し、部分委託も可能とするなど改革を行うが、飲用向けと加工原料乳向けの調整を担保する仕組みなど、具体的な要件は国が今後検討することとなった。酪政連が12月1日に開いた常任・中央合同委員会の席上、佐々木勲委員長は今後の検討作業に対して「我々の意見が入れられるように今後も頑張りたい」と述べ、酪農家の意見が反映されたものとなるよう引き続き要請を行う考えを示した。


委員会で冒頭あいさつした佐々木委員長は制度改革をめぐり「これから(具体的な要件を検討する)作業が始まる。与党の先生方に生産現場のことを理解してもらい、取りまとめをしてもらったが、『安心しちゃならん、これからが勝負だ』とも言われている」と情勢を報告した。


その上で「指定団体制度を長年守り、それにより酪農家は安心して経営をしてきた。かつて南北戦争と言われた北海道と都府県の問題も、お互いに理解して、これまで酪農に勤しんできた。この先、我々の息子、孫の代が安心して酪農ができて、しっかり守ってくれたと言われる内容にして次世代へと受け継がせたい」と述べた。

「乳用種牛肉の枝肉相場が堅調に推移」- スモール、素牛も高値維持か

2016-12-10

昨年大きく上昇した乳用種由来の枝肉(交雑種=F1去勢・雌牛、乳用種去勢牛)相場は、今年も堅調に推移している。肥育用素畜(スモール、中間素牛)価格も連動して上昇し、昨年を上回る展開となっている。


2016年1~10月の東京市場平均枝肉単価(税込)は、交雑種去勢牛B3が1679円(前年同期比104.2%)、同B2が1495円(同99.9%)、乳用種去勢牛B2は1023円(同95.8%)と、いずれも昨年の高値を維持している。


和牛などを含めた全国出荷頭数の減少傾向が、相場に大きく影響している。成牛全体の出荷頭数は、すべての月で前年同月を下回っている。品種別では、和牛と乳用種去勢牛がすべての月で前年同月を下回り、交雑種は酪農家の黒毛和種交配率の上昇により、8月から増加に転じた。


和牛の枝肉相場は上期(1~6月)、前年同期を2割近くも上回り、量販店等は相場高を受けて、7月頃から交雑種に仕入れをシフトした。そのため、同市場の交雑種相場はもちあいで推移している。


輸入牛肉のうち、国産牛肉、特に乳用種去勢牛と肉質面で競合する冷蔵肉(チルド)の輸入量は、米国の増産により、増加傾向で推移している。同市場の乳用種去勢牛相場は、7月からやや軟調となった。


一方、素畜は乳用牛飼養頭数の減少により、慢性的な玉不足が続いている。1~10月の素畜価格(税込)は、北海道主要市場平均で交雑種雄スモールが27万9千円(同137.6%)、乳用種雄スモールが11万1千円(同163.5%)と、どちらも大幅に上昇した。


中間素牛も、全国市場平均で交雑種去勢牛が44万3千円(同108.3%)、乳用種去勢牛が21万8千円(同111.8%)と、前年同期を上回っている。


9月の交雑種去勢牛は46万2千円となり、8月から連続で過去最高を更新した。乳用種去勢牛は枝肉相場に連動して、9月に20万円を割ったものの、高値を維持している。


枝肉相場高だが、消費は末端需要の停滞が続いている。総務省公表の家計調査報告によると、全国1世帯当たりの牛肉購入量は14、15年と連続で前年を下回った。今年はようやく昨年を上回って推移しているものの、需要が高まった13年の水準には達していない。いわゆる「肉ブーム」が続いているが、小売価格の上昇に加えて、地震や台風などの自然災害の発生が相次いだことで、消費の盛り上がりに欠けている。


肉用牛農家、飼養頭数は、ともに年々減少している。家畜改良センターの10月末個体識別記録の品種別・月齢別飼養頭数から、来年3月までの出荷頭数は全体で減少傾向が続き、和牛と乳用種去勢牛は前年同期比減、交雑種は同増と予測される。特に乳用種去勢牛は、酪農家の黒毛和種交配率が依然として高水準にあることや、雌雄判別精液・和牛受精卵の活用が増えていることから、4月以降も減少傾向が続くと予想される。


牛肉の消費回復に不透明感がある中、各種調査結果から、消費者の国産志向および割安志向が根強いことがうかがえる。11、12月は年末年始に向けて牛肉の最需要期であり、値ごろ感のある乳用種由来枝肉は堅調な相場が続いている。1~3月は不需要期で例年相場が緩むが、牛全体の出荷頭数の減少により、大幅な下げはないと見込まれる。


スモール・中間素牛の相場も出回り頭数の減少傾向が続くと見込まれるため、当面、高値圏で推移すると予想される。


肥育経営は素畜の高騰で厳しい状況が続いている。乳用種去勢牛肥育の収益性は、肉用牛肥育経営安定特別対策事業(牛マルキン)の補てんが発動されるなど悪化している。交雑種肥育の収益性も利幅が縮小している。


日本の牛肉自給率(重量ベース)は、近年40%台の横ばいで推移している。国産牛肉の生産量の内訳(15年・部分肉ベース)は、和牛などの肉専用種が47%(雌含む)に対し、乳用種由来(同)は53%を占めている。


酪農生産基盤の強化による素畜の供給増は、国産牛肉資源の確保に不可欠であり、その実現が急務となっている。

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