全酪新報/2016年11月10日号

「加工原料乳生産者補給金の交付対象の拡大に意欲」 ― 規制改革推進会議が大枠の方針・農業WGが再び提言へ

2016-11-10

指定生乳生産者団体制度等の見直しをめぐり、政府の規制改革推進会議は11月7日、首相官邸で会合を開き、大枠の方針として、国が指定する団体(現行の指定団体)以外に生乳出荷する酪農家も加工原料乳生産者補給金の交付対象とする考えをまとめた。具体的な交付要件などを同会議農業ワーキンググループ(WG)が引き続き議論し、今後、あらためて提言する。

お断り=本記事は1月10日号をベースにしておりますが、日々情勢が急変しており、本ホームページでは、通常の態勢を変えて本紙記事にその後の情報も加えた形で状況を掲載するなど、一部記事の重複などが生じることもあります。ご了承ください。

「中酪・指定団体が自民党の坂本畜産・酪農対策委員長へ緊急要請」 - 全量委託の堅持などを訴える

2016-11-10

中央酪農会議は11月8日、自民党畜産・酪農対策小委員会の坂本哲志委員長と面談した。指定団体には制度的な裏付けが必要であり、加工原料乳生産者補給金の交付対象は、需給調整の役割・責任を担う生産者に交付することや、無条件・全量委託の原則堅持などを内容とする指定団体会長会議名の決議文を渡し、党の取りまとめ役である坂本委員長に緊急要請した。


面談したのは、砂金甚太郎副会長(全酪連会長)、尾形文清副会長(九州生乳販連会長)、瀧澤義一理事(ホクレン副会長)、菊池一郎理事(関東生乳販連会長)ら。


中酪側からは、前日に規制改革推進会議が示した指定団体改革に関する方針に反論する形で、小規模な家族経営も意欲を持って牛乳・乳製品の安定供給の一翼を担っていることを強調。また、指定団体制度ばかりが議論の焦点になっているが、大手量販店を含めた小売側にも問題があることを指摘した。


事務局によると坂本委員長からは、中酪の意見を受け止め、自民党の取りまとめに反映させたいとの発言があった。

「生乳の販路、自由に選べるよう」 ― 安倍首相が酪農改革を指示

2016-11-10

安倍晋三首相は11月7日の規制改革推進会議に出席した。その席上、加工原料乳補給金の交付対象見直しなど酪農改革に強い意欲を示し、早急に提言を取りまとめるよう同会議に指示した。


安倍首相は「指定団体に出荷する酪農家のみを補助対象とする仕組みをやめ、酪農家が販路を自由に選べ、流通コストの削減と所得の向上が図られる公平な事業環境に変える。特色ある牛乳、バター、チーズを消費者が身近な店で手にできて、そして輸出もされるように、酪農家の働き方改革も視野に入れながら、成長する日本の酪農の未来をつくり上げてほしい」と述べた。

「TPPは議論すべき点が山積み、拙速な採決は禍根を残す」 - 東大の鈴木宣弘教授が政府に苦言

2016-11-10

TPPをめぐり東京大学大学院の鈴木宣弘教授は、農業への影響や国内対策、食の安全など多くの懸念事項に対する政府の説明と対応が不十分と指摘。協定承認案の早期成立を目指す政府に対して「こんな(批准)手続きが民主主義国家として成り立つのか。TPPが反対かどうかの問題を超えて、こんな手続きをしていることを徹底的に追及しなければならない」として、国民的な議論にはほど遠い実態にあると厳しく批判した。10月31日、農業関係のマスメディアなどが集まる農政ジャーナリストの会の勉強会で講演した。


鈴木教授は10月27日の衆院TPP特別委員会の参考人質疑でも「国会決議との整合性を含めて、まだまだ議論すべき点は山のように残っている。そのような中で拙速に採決することがもしあれば、誰のために政治行政をやっているのか、日本の民主主義が問われ、歴史に禍根を残すと言わざるを得ない」と強調した。


勉強会で鈴木教授はTPP合意後に政府が公表した影響試算と実質GDPへの効果について「当初はGDP 3.2兆円増だったが、(合意後の試算は)約14兆円増まで膨れ上がった。それは生産性向上効果という便利な要素を組み込んでいて、例えばTPPで製品価格が10円下がっても、頑張ってコストも10円下げれば相殺され、プラス分を足し合わせたら当初の3.2兆円増ということ。それがなぜ14兆円増まで膨れ上がるかというと、製品価格が10円下がったら、コストが50円下がると(仮定の)数字を操作するだけ。その程度の試算でしかない」と指摘した。


一方、米国の政府機関が今年5月に公表した影響試算では「米国では実質GDPは0.15%(4.7兆円)しか増えず、製造業は生産も雇用もマイナスと試算している」と説明。「米国は農産物輸出で8千億円儲けるといい、半分の4千億円が対日本への輸出だ。一方で日本は農業全体の生産額減少が1300~2100億円で済むと言っていて米国の試算と全く合わない」と述べた。


さらに「共同通信が4月に行った全国の知事へのアンケート調査では、政府の説明を『十分』と答えた知事はゼロ、国会決議が『守られた』もゼロ、影響試算が『現実的』もゼロであり、これが実態だ」と訴えた。


鈴木教授は「米国民が猛反対して大統領候補も反対と言わざるを得ない状況で、TPPはおかしいと世界中で明らかになっている。日本だけ採決を急ぐ姿をこのまま見ているだけでいいのか」と述べたほか、野党の動きに対しても「(衆院の採決日を)伸ばしたから頑張っただけでは済まされない」と指摘した。

「グランプリは北海道のハッピネスデーリィ工房」―CPA主催のジャパンチーズアワード2016

2016-11-10

NPO法人チーズプロフェッショナル協会(CPA。本間るみ子会長)が主催する国産ナチュラルチーズ(NC)コンクール「ジャパンチーズアワード2016」の最終審査と表彰式が10月23日、東京・北品川の大崎ブライトコアホールで開催された。コンクールには全国65のチーズ工房から計182品のNCが出品され、審査の結果、ハッピネスデーリィ工房(北海道十勝管内池田町・嶋木正一社長)のチーズ「森のカムイ」がグランプリに輝いた。CPAは調理師やワインソムリエなどチーズ普及に励む関係者が集まる協会で、同コンクールは14年に初開催。隔年に開催していて今回で2回目。


表彰式に合わせて会場では試食展示会「第6回日本の銘チーズ百選」を開催。日本全国のNCが一堂に会し、多くの来場者でにぎわった。

「竹原憲一氏に旭日双光章、大浦忠敏氏・野村拓也氏に黄綬褒章」―2016年秋の叙勲・褒章で

2016-11-10

農水省は11月3日、2016年秋の叙勲並びに褒章受章者を発表した。勲章受章者のうち酪農関係者からは竹原憲一氏(70歳。元熊本県酪連副会長)が旭日双光章を受章した。叙勲伝達式は11月11日、農水省講堂で行われる。


竹原氏は全国乳牛改良同志会会長などを歴任。地域の酪農産業を牽引し、乳牛改良を通して熊本県の酪農生産基盤強化の礎を築き、全国の乳牛改良に貢献をした。


また、褒章受章者のうち大浦忠敏氏(81歳。茨城県・酪農業)、野村拓也氏(60歳。京都府・酪農業)がそれぞれ黄綬褒章を受章した。褒章伝達式は11月15日に行われる。

連絡先・MAP

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酪農会館5階
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(業務部・共済制度)
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