乳滴/2019年11月1日号
今こそ国の支援が必要
台風15号で瞬間最大風速が千葉県内で40~50㍍を超える観測史上過去最大の暴風雨を記録した。荒れ狂う暴風雨の中、停電と断水。搾乳や普段通りの飼料給与が行えなかった酪農家だが、前号のように、まず乳牛の心配をした。
「お腹をすかし夜中によく鳴いていた。牛の気持を考えると『自分も』苦しかった」と。子供を持つ親や伴侶動物と暮らす人達の心情にも通じるものがあるか。
住む家の屋根が壊れ、窓ガラスが割れ、水が浸入してくる。牛舎や堆肥舎等施設の被害。水をかぶった飼料。呆然とする間もなく動き、走り回ったにも関わらず、大規模停電の影響は大きすぎた。苦汁の結果として、生乳を廃棄せざるを得なかった。被災した酪農家や組合も懸命に出来る限りのことはしている。関係団体も支援に動き出している。
しかし、それには限界がある。こうした時こそ、国や地方自治体の役割があるのではないか。生活する場の再建だけでなく、生活手段をどのように立て直すのか。その費用を考えると厳しい現実がある。千葉県は畜産統計で19年の酪農家戸数が全国4位の561戸、18年の生乳生産量は全国6位の20万2千㌧。日本を代表する酪農県の一つだ。笑顔が戻るまで関係者一丸とならなければ。