乳滴/2019年9月10日号
現状課題の総ざらいを
農水省が5年毎に改定している酪肉近の議論で、乳業者側から10年後の生乳生産の目標数量として現行目標の750万㌧を800万㌧に引き上げるべきとの提案がなされ、議論になった。行政の基本政策とも密接に関係するだけに注目度は高い。
2010年酪肉近では、20年度の目標は800万㌧。15年の酪肉近では、当時の生産水準を考慮し25年度目標は750万㌧に引き下げられた。
今回、西尾啓治臨時委員(日本乳業協会会長、雪印メグミルク社長)が10年後の目標を800万㌧に引き上げることを提案した。「過去20年間に減少してきた140万㌧の半分を10年で増産したい」と発言。増えた乳量はチーズ等の国産設備を活用すれば十分対応できるとの考え方だ。
18年度の生乳生産は約728万㌧であり、10年後とはいえ、大幅な生産増産が必要となる。
これまで現状の生乳生産数量が酪肉近の生産目標を下回った際に、農水省からは「(生産目標は)様々な課題が解決された場合の数量」などと説明を聞いた。過去の需給緩和時には、輸入乳製品を国産で置き換えすると踏み込んだ時もあったが、これを機会に行政、生産者、乳業者に流通関係者などまで巻き込み、現状と将来の課題の総ざらいを行うべきではないか。