乳滴/2018年5月20日号
課題は都府県酪農対策
「もう少し頑張れば」あるいは「搾乳ロボット等の最新の機械を導入すれば」いずれ世界一生産コストの安いニュージーランドにも対抗できるようになるのではとの考えを述べた政府関係者がいた。現実には農業は自然条件、数十倍、数百倍もの土地・規模条件の違い、その国の政策等に左右され、工業製品のようにはいかない。オセアニア等を視察した人なら肌で感じたはずだ。
わが国の酪農は近年、戸数・頭数、生乳生産量等の減少に歯止めがかからず縮小均衡の道を辿っている。特に都府県酪農の衰退は顕著だ。ここ数年、TPPや日欧EPA等の外交交渉、改正畜安法に至る酪農制度改革に忙殺されてきた農水省だが、次の本腰を入れるべき課題は都府県酪農対策ではないか。
わが国の酪農政策は加工原料乳地帯の北海道に対して加工原料乳向けの生産者補給金の交付等の政策支援・予算を集中させ、飲用乳地帯である都府県も間接的にその恩恵を受ける構図として、これまで発展してきた。しかし、酪農に熱心な研究者には、様々な事業に加えて、飲用乳に対しても米国等の諸外国並みの支援を講ずる必要があるとの結論を表明している。
ただし、実現には非常に高いハードルがある。いつか超えなければならないのではないか。