乳滴/2017年9月1日号
酪農危機は〝進行中〟
超大型酪農経営であるメガ・ギガファームの増産投資(更なる規模拡大)は、勢いのある記事として地元紙や業界専門紙・誌にとかく取り上げられやすい。大規模牛舎の新設に、搾乳ロボットはじめ最新設備の導入など話題や絵になりやすいからだ。しかし、酪農家戸数や飼養頭数、生乳生産量が依然として減少し続けているのだから、問題は解決していない。
今年2月1日現在の畜産統計について、本紙ではその概略を報じたが、成畜飼養規模別の状況をみると、超大型経営の陰で進行している中小家族経営の離脱が鮮明だ。
例えば全国平均では成畜飼養頭数は、前年同期比1.7%減(小数点第2位以下四捨五入)。だが飼養規模別(100頭未満までを20頭区切りの5段階と100頭以上層の計6段階)でみると1~19頭層の10.7%減を最大に20頭以上から99頭未満までの4階層いずれもが約4~5%の減少。100頭以上層の1.3%減と合わせて全階層で飼養頭数が減少している。わずかに100頭以上層にくくったうち、300頭以上層とした場合に7.9%増と増加しているにすぎない。
これは成畜規模別の酪農家数においてもほぼ同様だ。つまり、300頭以上層(前年比10戸増の244戸)だけが増えているのが現実だ。