乳滴/2017年8月20日号
世界情勢は変化する
先の日欧EPAの大枠合意では、政府はチーズの輸入枠等で譲歩し、結果的に自動車がメリットを得た。その自動車業界が揺れている。中国や英国、フランス等でガソリン・ディーゼル車から電気自動車(EV)推進への方針が打ち出されたからだ。自動運転技術と併せて世界の巨大メーカーが生き残りをかけた更なる激しい競争となるのは必至だ。
日本経済にとって自動車業界は、産業のすそ野が広く500万人以上の雇用を抱える基幹産業の一つである。EVはもちろん現状では、まだ課題も多いが、生産には部品点数が4割弱少なくて済むという大きなメリットがある。かじ取りを間違えたら大変だ。
いずれにしても、物事(困難)に対処する際に、日本は従来の延長線上の改善で進める傾向があるのに対し、米国等では仮に過去に積み上げてきた過程があったとしても、難しいと判断したならば、躊躇なく捨て去り、新しく根底からシステム全体を変えてしまう強さがあると言われる。
このことは世界の政治経済、貿易において、特に命につながる食料の確保では肝に銘じておきたい。当たり前だが、食品は工業製品のように製造できない。日本の都合に合わせて世界中から継続して輸入できることに安住してはならない。