乳滴/2017年7月20日号
「所得」があってこそ
最低限の酪農家の所得目標として「生乳1㌔当たり30円」の継続的・安定的な実現を目指す。JAグループ北海道が18年度政策提案に盛り込んだものだ。都府県酪農にとっても非常に重要な課題である。所得目標は都府県ではどの水準が妥当かなど、議論が必要であろう。
繰り返しになるが、本会は、飼料高騰による平成の酪農危機を契機に09年3月以降、3回にわたり政策提言してきた。柱の一つが酪農家の所得を支える新たな経営安定対策(最低所得補償制度=セーフティネット)の導入を目玉にした。
この時点で想定していた、制度で支える最低水準のレベルは、11年度の統計を基に都府県平均の家族労働人数2・4人、搾乳牛37頭、労働時間約4千時間、家族労働費総額約600万円。この所得水準を下回らないようにというものであった。時給にすれば約1500円だが、09年の白書には酪農における時給換算として、04年の時給1500円が08年には766円まで半減してしまった実例が示された。
加工原料乳への補給金による下支えがある北海道で明確に所得目標を打ち出した中で、生乳生産減少の起因となっている都府県酪農がいかにあるべきか。稼げる酪農が後継者を呼ぶことができる最大の力になろう。